劇場版『SPEC~天~』の感想(駄目な点と良かった点)

劇場版『SPEC~天~』の感想(駄目な点と良かった点)

「劇場版 SPEC~天~」について映画館で見た感想を書く。 SPECテレビ版の後半のシナリオのグダグダぶりに加え、これまでも映画では微妙な堤幸彦監督なので事前に全く期待してはいなかったが、予想より斜め上を行くダメっぷりだった。 グダグダぶりは全く解消されず、酒を飲みながらでっち上げたような酷いシナリオだった。 他には、戸田恵梨香さんの顔色がドラマ本編に比べて著しく悪く、化粧でごまかしていたが、相当疲労か何かが溜まっているのか、見ていて痛々しかった。(記事中に映画のネタばれがあります。)

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劇場版 SPEC~天~の駄目な点

大上段に掲げた予言の伏線も全くといっていいほど回収せず。アグレッサーという対SPECホルダー筆頭の組織のリーダーを務める津田はSPECホルダーの中でも時間を止めるという最強の一(ニノマエ)を攻めるのにSATでの突撃とは無策もいいところ。

本編でさんざやられたのに、まさか本当に通じると思っているのか。
案の定SPECホルダーにたぶらかされ、最後は人情に訴えて駄目なら自爆特攻とかどうしようもなさすぎる。
まあ、この時点では警視総監は救助しているが、子供のほうの人質救出は目的じゃないのか?幾らなんでも酷過ぎる。
全ては当麻の手のひらだとすると、それを見越して津田を行かせたのか?
アグレッサーにもSPECホルダーいたのに、なぜ動員しなかったのか。
津田は御前会議メンバーの招集かけられるくらい立場があるのに、体制側のSPECホルダー呼べないんですかね。

そもそも御前会議は”化け物ども”相手に脆弱すぎる。ドラマ本編で各国首相や内閣総理大臣も色々やられてたはず。
かなり昔からSPECの存在が知れ渡っていて秘匿されているなら、東野のようなお抱えのSPECホルダー部隊くらいいてもおかしくない。
ぽっと出のクローン一が数年かけた程度の手勢にすら対抗できないのか。(まあこれについてはクローンを作った更に別の存在の仕業らしいが)

シナリオ面ではないが、戸田さんの演技もずっと表情やテンションが同じで、ドラマ本編のような気を抜いたり、切れたり、ギャグをいったり、ドジをやって叱られたり、と色々表情やテンションが変わるのだが、劇場版ではほぼテンションが高いまま、表情も変化が乏しく、ライアーゲームを見ているように辛いものがあった。
恐らく体調が悪いせいで演技に身が入らなかったのかと思う。

馬場管理官以下3人の扱いが酷過ぎる。一話を知っていると泣ける。
今更どうしようもないけど。

伊藤淳史がモンスターすぎる。あれはSPECではない。
浅野ゆう子も魔法チックすぎる。完全に人外で、SPECホルダーも相容れないでしょうあんなの出てきたら。
一は仕方ないにしても、伊藤、浅野のSPECは世界観にそぐわない。

劇場版 SPEC~天~の良かった点

劇場版 SPEC~天~の良かった点

  • 野々村代理が瀬文と当麻にいう台詞
  • 対決前に当麻が一に言う台詞
  • 瀬文が病院で当麻に言う台詞
  • 瀬文のキャラがいい意味でも悪い意味でも固まり、加瀬さんが割り切って役者魂を出していたところ
  • 栗山千明(青池役)の使い方は正解

随所に色んなネタはあれど、全体的には酷い映画だったと思います。
一応、未回収の伏線含め欠で終わるようですが、これだけの題材とキャストがありながら勿体ないことしたなという印象しかない。
娯楽映画だから仕方ないのかもしれんが。
ファティマの予言をもっと前面に押し出してもよかった。

何でSPECホルダー組織の本丸攻めるのに信用ならない当麻の作戦頼みなんですかね。
筆者が思うに、このドラマはSPECという超常現象に対して、ロジック(と刑事魂)で対抗し、追い詰める過程が面白いドラマで、第一にそこに焦点を絞るべきだった。
今回使われたロジックは冷凍気化でも凍らないよう工作した銃とか、投げて爆発させてあれするキャリーケースとか、毒ガスと同じダメな方向のロジックにいっている。
そうじゃなくて、一話の五木谷殺し、二話の死刑囚からの挑戦状、七話の心を読む女との戦いのように、当麻がロジックを使って犯人を追いつめるという構図が重要だった。

犯人がスペックホルダーじゃなくてもドラマは成立する。それは本編が立証している。
銃を工作するという安っぽい方向に行く必要はなかった。犯人の心理的死角を突くような方向性でなくてはならなかった。
製作者側はそれを勘違いしたまま劇場版に突入してしまった。お祭り的な気分で酷いシナリオを通してしまった。

もしロジックで構築するのが難しいなら、ドラマ最後半の形を膨らませて、SPECホルダーとアグレッサーの闇闘に、未詳が加わりという三者の対立構図を作っておけば、まだしも緊張感が生まれた。
これならば瀬文のアクションシーンも入れることができ、画面も映えただろう。しかし、こういうドラマも描かれなかった。
それどころか、途中で間抜けな脱落のさせかたをさせてしまい、アクションシーンと呼べるものがなかった。そしてギャグ要員にされた。
酷過ぎる。残念でならない。

 

SPEC劇場版・天に関してはSPECファンの人ほど見ることは勧めません。筆者のように悲しい思いをするだけでしょう。
当麻と餃子が画面に出るだけでニヨニヨ出来るレベルの高い人だけお勧めです。

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