PS4とPlayStation Vitaで2017年1月12日発売予定の『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』の体験版をプレイしたのでインプレを掲載します。
(※記事文中にネタバレがあります。ネタバレを避けたい方はこの記事を見ないようお願いします。)
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ゲームとしてはシリーズ作品になるが、筆者はこれがシリーズ初プレイとなる。
第1作は『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』がPSPで2010年に発売。その後、約1年に1本のペースで新作がリリースされている。
『ニューダンガンロンパV3』はコンシューマ機のシリーズでは6作目ということになる。
また、2013年にアニメーション化もされている。
ダンガンロンパ シリーズ作品(コンシューマ機)
発売日 | 発売機種 | タイトル |
---|---|---|
2010年11月25日 | PlayStation Portable | ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 |
2012年7月26日 | PlayStation Portable | スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園 |
2013年10月10日 | PlayStation Vita | ダンガンロンパ1・2 Reload |
2014年9月25日 | PlayStation Vita | 絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode |
2016年10月13日 | PlayStation 4 | サイバーダンガンロンパVR 学級裁判 |
2017年1月12日 | PlayStation 4/PlayStation Vita | ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期 |
デスゲームのフォーマットとニューダンガンロンパ
『ニューダンガンロンパV3』は推理アドベンチャーのカテゴリのゲームになる。
筆者は『クロス探偵物語』や『かまいたちの夜』のような本格ミステリテイストの推理・アドベンチャーゲームが好きだが、最近ではそれほどこうした分野のゲームはプレイしていない。
その理由はPS4であればFPS、TPS、アクションゲームが主流で、推理ゲームの数が多くないという事情もある。
実数は分からないが、開発会社から見るとハードの性能を追求したゲームを考えると、静的なアドベンチャーよりも動的なアクションやオープンワールドの比重が高くなるのではないかと思われる。
売っているゲームの弾自体が少ないので、ユーザー側がプレイしたいと思っていても出来ないのだ。
逆に、『ダンガンロンパ』はそうした市場でのアドベンチャー、推理ゲームの少なさという背景が有利に働く部分はあると思う。
ダンガンロンパシリーズはスパイク・チュンソフトが開発・販売している。
前身となったチュンソフトでヒット作サウンドノベル『かまいたちの夜』を開発していることもあり、アドベンチャーや推理ゲームに関しては業界でも一日の長がある。
ニューダンガンロンパV3体鍵版のインプレ
今回、ニューダンガンロンパV3体鍵版はプレイ時間を1時間プレイした感想を書いていく。
まず、ニューダンガンロンパV3のジャンルについては、アドベンチャー要素が強いが、同時に「デスゲーム」というジャンルに該当する。
「デスゲーム」は、2000年から2010年頃まで小説、映画等で流行ったジャンルだ。
「強制的に、あるいは寝ている間等に攫われた登場人物たちが、ゲームをクリアする、または脱出するため、強制的に死の危険を伴うゲームに参加させられる」
この過程を描くのがデスゲームだ。
デスゲーム
デスゲームの定義は検索すると以下のようになっている。
主に何らかの理由によって集められた登場人物たちが主催者から提示されたゲームに挑むというスタイルである。
ゲームには危険を伴うことが多く、場合によっては名前の通り死を迎える可能性もある。
緊張感とサスペンスが同時に味わえるため古くから存在しているジャンルではあるが、ゲームの性質上ルールの整合性が取れていない場合酷評される場合がある。
しかし、それらの穴を逆手に取ってトリックに用いる場合もある。
また、映像作品にする場合は大規模なロケを必要とせず、スタジオ内で小さなセットを組むだけで作れることから低コストで撮影できるため近年ではデス・ゲームの実写化も多い。
引用元:デス・ゲーム – Wikipedia
外国の作品では映画の『キューブ(1997年カナダ映画)』や『SAW』シリーズが有名だ。
日本だと『バトル・ロワイアル(高見広春著)』がデスゲーム系の先鞭を付け、その後漫画・アニメ等で作品が乱立した。
『今際の国のアリス』『ダーウィンズゲーム』はアニメ化もされて人気を博した。
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バトル・ロワイアル
ミステリだとやや狭義にはなるが「クローズド・サークル」ものが該当すると思う。
クローズド・サークル
クローズド・サークル(closed circle)とは、ミステリ用語としては、何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品を指す。
過去の代表例から、「吹雪の山荘もの」「嵐の孤島もの[1]」の様にも呼ばれる。
クローズド・サークルは「密室もの」ではあるが、部屋・家といった狭い舞台ではなく、災害にあった孤島・雪山などの「広義の密室」を舞台にした作品の場合を指すことが多い。
引用元:クローズド・サークル – Wikipedia
「クローズド・サークル」については雪山の山荘ものや嵐の孤島もの等、数々の作品が存在し枚挙に暇がない。
『かまいたちの夜』についてもミステリ編は「雪山山荘ものの典型的フォーマット」である。
『バトル・ロワイアル』は深作欣二監督、出演にビートたけしらを迎えた映画がヒットした。
その後、デスゲーム系のメディア作品は多種多様な設定のものが作られていたが、2010年頃から徐々に下火になっていったように思う。
『ダンガンロンパ』ではそうした下火になった時期に第1作を発売。
以後デスゲーム系の作品が少なくなる中、シリーズを紡いできた数少ない作品ということになる。
実際、この種類のシリーズ化されたゲームは、国内では『ダンガンロンパシリーズ』を除けば脱出ゲーム寄りとはいえ、『極限脱出シリーズ』くらいしか思い浮かばない。
極限脱出シリーズについても、同じ開発会社のスパイク・チュンソフトが手掛けている。
極限脱出シリーズ – Wikipedia
大抵のデスゲームでは「脱出」か「生還」が一つの目的になる。
主催者の正体暴きも作品によっては考えられるが、通常は一部の参加者が生還してデスゲームが終わるパターンが殆どだ。
閉鎖空間での人殺しも許容されるルールの極限状況の中、人々は疑心暗鬼に陥り、互いに殺し合うか、または協力して脱出を目指す。
それがデスゲームの一つの様式であり、閉鎖空間からの脱出が特にクローズアップされる場合は「脱出ゲーム」であるとも言える。
『ニューダンガンロンパV3』でもそのフォーマットに漏れない。
主人公の女子高生は、気付くとある建物の校舎に閉じ込められており「コロシアイ」と呼ばれるゲームに強制的に参加させられる。
建物内には超高校級という肩書きを持つ生徒が何人も閉じ込められている。
が、実は主人公も超高校級という設定である。
デスゲーム「コロシアイ」に参加させられる主人公・赤松楓(アカマツカエデ)
超高校級という設定についても『バトル・ロワイアル』を想起させる。
『バトル・ロワイアル』では、毎年無作為に選ばれた中学生に殺し合いをさせる殺人ゲーム「プログラム」が行われており、プログラムで生き残るため、学生にしては能力が高すぎる超人レベルの川田や桐山、三村といった人物が登場していた。
デスゲームの主催者側から見ると、殺人等を前提とした過酷なルール設定上、通常の高校生レベルでは「ゲーム」にならないため、通常を逸脱したレベルの人間を集めてくる、というのは道理に適ったものだろう。
そのため多くのデスゲームの登場人物は、「知能」「推理力」「戦闘力」「ハッキングや情報処理能力」といった分野で一芸に秀でた能力者が登場する。
小説や映画としても、超人的能力を持つ登場人物がその能力で難関を突破していくのはカタルシスを得られるものであり、理に適っている。
但し、『ニューダンガンロンパV3』で集められるのは、「超高校級の昆虫博士」「超高校級のメイド」といった一見、戦闘や生存に何の関係もなさそうなものとなっているのは、通常のデスゲームにないこのゲームの特色だろう。
『ニューダンガンロンパV3』の学園には奇妙なルールが設定されている。
殺人をして学級裁判で他の生徒を欺き、ばれなければ晴れて卒業。
クロが犯人として当てられた場合はクロにおしおきがされ、クロを逃がしてしまった場合はそれ以外の全員におしおきがされる。
自分が殺人をしなくては卒業出来ないが、殺人をしなくてもおしおきを回避するためには証拠を集め、裁判でクロを犯人として立証しなければならない。
異様な存在感を主張するキャラクターとUI
建物内では主人公は移動する事は出来るが、アドベンチャー的に場所が移り変わるのでなく、ダンジョンの中を移動するように一歩一歩移動していくスタイルになっている。
画面にあるモノを調べたり人に話しかけたり出来る。
机を調べると手紙が見つかった
途中、廊下などに他の生徒のキャラクターが立っている場面に遭遇する。生徒は固定の立ち絵が表示され、動いたりすることはない。
生徒に話しかけることは出来るが、奇天烈な風貌のキャラクターがただ突っ立っているのは結構不気味だ。
移動画面はダンジョンRPGのようなスタイル
道中で会う人物 カーソルを合わせると話すことが出来る
大抵の生徒は超高校級というだけあり、まともな会話が成り立つ人物は少ない。心細い主人公の相談に乗ってもらえそうなのは、過去シリーズの主人公を努めた男子二人だけだ。
主人公をサポートするのはシリーズ過去作の主人公・苗木誠(ナエギマコト)と日向創(ヒナタハジメ)の二人だ
キャラクターイラストは線が太くかなりインパクトがあり、世界観の不気味さや不条理を助長している。
キャラクターだけでなく、UI(インタフェース)や演出も異様な存在感を主張している。
奇妙なキャラクターが数多く登場するニューダンガンロンパV3
デスゲーム系の世界なので誘拐や監禁、殺人といった設定も仕方ない*1が、こうした印象を和らげるため狂言回しとして学園長のモノクマというゆるキャラが設定されている。
モノクマは『バトル・ロワイアル』でいえば坂持金発、映画ではビートたけし(キタノ)の役どころになる。
生徒たちにルールを提示し、戦いを嗾け、敗者に罰を与えるのがモノクマ*2だ。
学園長のゆるキャラ(?)モノクマ
学級裁判では推理アドベンチャーというよりミニゲームが主体
校舎の中を回って生徒に話を聞いていったり、探索を進めていくと殺人が起きて、一定時間経過後、学級裁判が始まる。
裁判を有利に進めるため、捜査や聞き込みで証拠をつかみたい所だが、時間が経過すると強制的に裁判が始まってしまう。
殺人事件が発生!
捜査や聞き込みをするが、裁判までの時間が迫る
学級裁判では殺人現場や凶器、各人のアリバイの確認とミステリゲームの様式に沿った展開も行われるが、『ニューダンガンロンパV3』ではその後に行われるミニゲームがメインと呼べるかもしれない。
学級裁判の開始前にスキルセットや証拠の確認などで準備することが出来る
いよいよ裁判へ
裁判では複数のミニゲームで自分の集めた証拠を提示したり発言をすることで、裁判の後に行われる多数決で、殺人を犯し嘘を吐いている「クロ」を指摘するのが目的となる。(体験版では多数決まではプレイ出来ない。)
最初に、相手の発言を文字通り「撃ち」論理的な矛盾を突くシューティング的なミニゲーム「ノンストップ議論」が始まる。
ノンストップ議論 黄色のウィークポイントを「コトダマ」の弾丸で撃ち落とす
ウィークポイントをブレイクした瞬間
ミニゲームは学級裁判の中だけでも幾つかの種類があり、相手の発言の矛盾を突き自分の無実を晴らしたり、犯人を探るという形式になっている。
これが「ダンガンロンパ」というタイトルの由来になっているのではと思う。
学級裁判はミニゲームが主体となっている。ミステリゲームにおける一般的な推理や犯人当てのシークエンスとはかけ離れている。
裁判で行われるミニゲームの一例
発掘イマジネーションで凶器を推理する
複数の意見が乱れ飛ぶパニック議論
嘘の発言をして味方を擁護するノンストップ議論嘘
物事の繋がりを推理するブレインドライブ
道路に散らばった言葉を拾い集めて疑問を完成させて選択肢を選ぶ
ミニゲームは必要なのか
ゲーム内ゲーム、ミニゲーム、或いはQTEについては、様々なゲームでそれが導入されている。
例えば人気シリーズ『龍が如く』でも、ゲーム中多数のミニゲームがプレイ可能だが、これは無理にやる必要はなく、基本的にサイドクエストまたは枝葉の部分になっている。
街を散策して、ゲームセンターや賭場でミニゲームに興じるというレベルになる。
ゲーム内キャバクラ経営という例外もあるが、基本的には本筋と無関係に楽しめるのがミニゲームの定義と言える。
しかし『ニューダンガンロンパV3』では、ミニゲームをクリアしていかないと裁判に勝つことが出来ないため、ミニゲームでも一切手を抜く事は出来ない。
ミニゲームの一つの「ブレインドライブ」では、一昔前のレトロゲームのような画面でドライブゲームをプレイする事になるが、画面内の「言葉」を拾い集めて正しい選択を導き出すという内容になっている。
ただ、これは推理や相手の発言の矛盾を突くという状況に対して、レースゲームをプレイする必要性を全く感じなかった。
その後、体験版のプレイを終了した。
体験版では学級裁判の途中で終わり、多数決で真犯人を指摘することは出来ずに終わった。
本編は製品版を購入してから続きがプレイ可能となっている。
購入判断
『ニューダンガンロンパV3』体験版をプレイしたが、ヴィジュアル・システム面両方で筆者には合わないと感じたため購入は見送りとなった。
『ダンガンロンパシリーズ』に関しては、完全に好き嫌いがはっきり分かれるゲームだと思う。
このシリーズが好きな人は継続して買っているだろうし、そうでない人はこれまでもプレイしていないだろう。
現在のゲーム市場では数少ない推理アドベンチャーゲームとなるため、シリーズ作品としては今後も健闘してもらいたいと感じる。
*1:本作品はCERO:D(17才以上対象)
*2:モノクマ役は大山のぶ代さんが声を当てていたが2014年の『チェインクロニクル』を最後に『ニューダンガンロンパV3』からはキャストがTARAKOに代わっている。
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