PS4ダウンロード版「ヴァンブレイス:コールドソウル」を難易度普通でストーリークリアしたので、総評とレビュースコアを掲載する。
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レビュースコア
ゲームタイトル | スコア | ランク | 評価観点 |
---|---|---|---|
ヴァンブレイス:コールドソウル | 5 | D |
|
ローグライク風のストーリー重視のRPG。 購入前はダーケストダンジョン風の横画面にオッドアイの謎の美女が主人公というビジュアルに惹かれて購入した。 実際にプレイしてみて、世界観は相当練られていたと思うが、それが上手くゲーム中に落とし込まれていたとはいい難い。 システム面は思っていたより簡易的で同系統のゲームより試行錯誤の余地が少なく感じた。 結果、購入前の期待値ほどインパクトを得られなかった。 |
レビュースコアの採点方法については以下リンクを参照。
ゲーム紹介トレイラー動画
総評
一見、「Darkest Dungeon(ダーケストダンジョン)」のフォロワーのように見えるが、似て非なるストーリー重視のRPG。
主人公を固定にして、ストーリー重視にしたのはこのゲームのオリジナル要素だ。
失踪した父親を探す謎めいた美女リリックと、腕に付けている魔法の腕甲(ヴァンブレイス)、氷の障壁に覆われた地下城砦デイルアーチ、といった設定は、序盤を引き込むのに魅力的だ。
上:オッドアイを持つ主人公のリリック 下:呪われた都・アイセネアを囲む氷弊に挑むリリック
リスクとリターンのゲームバランス(ダーケストダンジョンとの比較)
このゲームはダーケストダンジョンと比較対象になるゲームだと思うが、ダーケストダンジョンではダンジョンに行くには松明や食料などダンジョンを探索するための物品を買うコストが必要となり、ダンジョンでそれ以上のリターンがないと赤字になってしまう。
ダンジョンを長時間探索すると報酬の可能性は増えるが、戦闘が増えてストレスが上昇しやすく、回復にも時間とコストが必要となるため、攻略のバランスが絶妙に取られていた。
コールドソウルでは、そうしたシビアなゲームバランスはなくダンジョンにノーコストで行く事が出来る。
途中で無理だと思ったらノーリスクで引き返せる。戦闘などで減ったHPや活力はベッドで寝れば全回復する。
戦闘や宝箱から得られる大半は装備品(遺宝)や回復アイテムの元になるリソースアイテムだ。
職業専用装備は妙技を強化するため、ぜひ作っておきたい。
遺宝はリソースアイテムから作るのが通常で、遺宝がドロップで落ちる事はまずない。
上:ダンジョンでのイベント遭遇 下:ダンジョン内部のマップ画面
なぜ、ダンジョンへの突入を何度も繰り返す必要があるかというと、ボスエリアまでにはダンジョンを何層も抜けた先にあるため、「活力」が0にならないように回復アイテムを大量に持ち歩く必要があるのだが、回復アイテムの作成には主にダンジョンや戦闘で得られるリソースが必要になる。
活力は0になると冒険者が死んでしまうため、出来るだけ維持しなければならないが、ダンジョンの通路では回復アイテムを使えないため、回復機会はキャンプを張ったときの楽器演奏か、回復アイテム使用に限られるが演奏での回復は限られているので活力回復にはどうしてもアイテムに頼る必要がある。
リソースを入手し遺宝と回復アイテムを量産するために、ダンジョンに何度も突入する必要が生じる。
回復アイテムはランダム出現の商人からの購入か、自分で工房で作るかで、工房で作る場合はダンジョンで拾えるリソースから回復アイテムを作る事が出来る。活力を保ちながらダンジョンを踏破するかがヴァンブレイス:コールドソウルでは重要になる。
一応、死んだ仲間は二度と戻ってはこないのだが、仲間に付けさせている装備品(遺宝)がロストする程度で損害は軽い。
遺宝は作ればよく、仲間の成長がないためまた雇えばいいだけの存在だ。
ストーリー面は複雑だが設定が多い
ストーリーについては、逃亡した魔女イザベルを追いつつ、主人公の失踪した父親にまつわる人々の話し、街でNPCに依頼されるサブクエストに関係したストーリー、どの勢力同士で争いが起きているかなどが中心となる。
世界観とストーリーにはかなり力が入っているが、独特な用語で説明されることもあり、理解するのは中々大変だった。
中盤以降はストーリーが急展開するので、そこまでプレイ出来た人はエンディングまで興味を持続することが出来るのではないか。
操作性は悪い
メニュー選択が十字キーでなくLスティックということもあって操作性の悪さが目立つ。
戦闘はスキルシナジーや考える要素が少ない
戦闘についてもコールドソウルではそれほど考える余地がなかった。
主人公や遠征隊(パーティー)に雇う冒険者のスキルは固定なので、自分で取捨選択は出来ずスキルの成長もない。
身に付けることが可能な装備品は一つしかなく、HPや活力の上乗せされる数値、職業専用装備(妙技が強化される)位しか選ぶポイントはない。
考える余地があるものとしては、闘技・技巧・商才・知覚・監視などダンジョンで主に必要になるステータスと、近・中・遠の距離に応じた戦闘スキル、バフスキルやデバフスキルの内容といったものがあり、全10職ある冒険者のスキルと妙技を一通り確認してみるまでは、一応それなりに試行の余地はある。
しかし冒険者のスキルさえ固定で変更することが出来ないため、あとは距離に応じてどのタイプの冒険者を使うかということしか要素がない。
上:ダンジョンでの戦闘画面 下:傭兵掲示板で雇った仲間をパーティーに入れる
良くいえばスマホゲーム風のゲームテンポを重視した簡易的なシステム、悪くいうと考える事が少ないシステムといえる。
スマホゲームならこれでもいいが、PS4のコンシューマ向けで出されているタイトルなので、もう少しシステム面で練り込む必要があったのではないかと感じる。
ダーケストダンジョンの場合、パーティーの隊列と戦闘スキルの距離が密接に関連しており、自分が考えた隊列やヒーローのスキルのシナジーが上手く機能した時は最高だ。
コールドソウルの場合はDoTやスタン(気絶)などの要素はあるものの、スキルシナジーが上手くいって勝てた、という快感が得られる事はほとんどない。
ダンジョンのイベントではダイス判定して欲しかった
ダンジョンの道中でイベントが起きてテーブルトークRPGのようにダイスを振って判定したり、といったところは雰囲気があったが、必要な数値が幾ら、ダイスの数値が幾らで、成功した・失敗したということが分からず、ただ成功か失敗の画面が出るだけで味気なかった。
これはちゃんとダイスの目でプレイヤーに判定結果が分かるようにして欲しかったところだ。
上:ダンジョン間の移動マップ画面 下:イベントでのダイスロール 実際にロールされることはなく直ぐ結果画面になる
上:街の移動画面 ダンジョンも同じような画面で移動する 下:人物情報の主人公リリック 3種類の戦闘スキルがある
上:街での会話画面 下:街のマップ画面は見下ろしのデフォルメキャラで移動
本稿のまとめ
JRPG的なビジュアルやダーケストダンジョンライクな画面などインプレは良かったものの、リスクリターンのバランスなどのゲーム性のなさ、戦闘でのスキルの使いどころが固定的で、スキルの取捨選択も成長要素も(ほぼ)なくプレイヤーの試行錯誤がほとんど必要ないことなどから、早々に活力維持だけを考えて回復アイテムを作りまくり、ゲームのクリアにまい進してしまったが、もっとゲームを楽しめる要素があればと感じた。(リリックのみ成長要素があり、ステータスアップはさせられるが、スキルの種類を増やしたりスキル自体の強化をすることは出来ない。)
2019年10月発売の「MISTOVER(ミストオーバー)」等、今後もこうしたダーケストダンジョンフォロワーなゲームは出るだろうが、ダーケストダンジョンを凌駕するゲームが現れるのかどうか。
今後の新たなフォロワーの登場に期待したい。
なおゲームのヒントを記したガイドブックがパブリッシャーのChorus Worldwideのサイトからダウンロード出来るので、リンクを掲載しておく。
その他の評価点
高評価の項目 | 低評価の項目 |
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