『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』(3DS版)ストーリークリア後の総評とレビュースコアを掲載します。
※難易度エキスパートで初見ストーリー表ボスクリア。
※DLC適用は更新データv1.2(バグ対応アップデート)とクラシックモードのイラスト「世界樹の冒険者」を適用。
※ニンテンドーeショップ(ニンテンドーeショップ 新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士購入ページ)にてDL購入(3,278円)。
レビュースコア
レビュースコアの採点方法については以下リンクを参照。
総評
前作との変更
前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』からプレイアビリティに関する様々な点が改良され、不満が非常に少ない快適なゲーム性となった。
例えばグリモア関連全て、UIの調整、職業数の増加、セーブ枠の増加、敵ステータスの表示等だ。
また、DLC販売が今作からシリーズに初めて導入された。イラストの追加等はいい要素もあるが、金や経験をDLCで得られるようにするのは、元々の世界樹の迷宮のコンセプトである、ウィザードリィを現代に蘇らせるというものに反するのではないか。
これ以後もアトラスは女神転生シリーズでもDLCを積極的に取り入れており、ゲームデザインの姿勢に関して些かの不安はある。
グリモア関連の仕様
前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』で取って付けたようなシステムで極めて不評だった「グリモア」は、この新世界樹2でもあるが、一応きちんとシステム化された。
戦闘中に得たグリモアが何か分かるように、戦闘中、リザルト画面で表示され、ギルドハウスのグリモア管理画面ではUIもソートし易くなるなど、かなり改善されている。
戦闘中逐一グリモアチャンスや獲得グリモアが表示されるのは正直邪魔であり、表示オフのオプションを入れても良かったとは思う。
前作ではなかったグリモアトレード、グリモアリサイクルという機能も実装され、ギルドハウスにきたゲスト客の持っているグリモアと価値交換でトレードしたり、ギルドハウスにグリモアを預けておけば別のグリモアとトレードしてくれるなど、グリモア関連にはかなりテコ入れが入っている。
グリモアが一つしか装備できなかった新1と異なり、新2ではグリモアをレベルに応じて最大6つまで装備出来るようにも調整された。
(グリモアの登録数は、新世界樹1ではグリモア所持は一つのみだが、様々なグリモアをスロット数に応じて登録する仕様だった。※一つのグリモアは最大7つまで登録。
新世界樹2では、「グリモア合成」は廃止。またグリモアは個別で付け替えが容易になった。)
グリモア関連に力を入れている事が分かる公式PV
グリモアが戦闘後のランダム入手だった新世界樹1と異なり、新世界樹2では、グリモアトレードで欲しいグリモアと不要なグリモアをトレードしたり出来るほか、グリモアリサイクルではギルドハウスオーナーに渡したグリモアに相当する価値のグリモアをランダムで入手してくれるなど、新世界樹1よりは入手手段が格段に多くなっている。
また、新世界樹1では、低LVグリモアの使い道がなかったが、本作では低LVグリモアをグリモアリサイクルに出す事で、一定LV以上のグリモアと交換してくれるグリモアガチャがある。
交換グリモアは完全ランダムだが、高LVグリモアは交換レートが高いためそれだけで価値があり、リサイクル元になる低LVグリモアにも「交換用」という付加価値が付いた。
ただ、やはりビルドという面で見ると、ランダム要素が大きすぎるグリモアシステムはプレイヤーからすると扱い辛く、実際グリモアが採用されたのはシリーズでこの新世界樹2が最後になった。
大半のシリーズは「サブクラス」が採用されている。ビルドからランダム要素を廃したサブクラスは、グリモアよりも確かに扱いが容易だ。
本作の目玉は公国直営料理店の運営
本作では、ハイ・ラガード公宮に依頼され、冒険者たちは公国直営料理店を運営する事になる。
料理メニュー開発から始まり、料理を国内の地区で宣伝することで売れた料理は自分たちの売上げとして資金が増やせる。
都市開発で地区を充実させることで住民を増やし、客を増やして売上げ増につなげるといった要素もある。
公国直営料理店の公式PV
やや取って付けたような設定で、本格的なSLG要素はないものの、料理の会話シーンなどは丁寧で楽しい雰囲気が伝わってくる。
また、完成した料理のイラスト表示もされるのだが、本当に美味しそうだ。
直営料理店の展開では、単にゲーム側の都合だけで店が開かれるのではなく、NPCである料理人のレジィナにも自身の思惑がある。
レジィナには「自分の真の目的を達成するため主人公たちを利用して料理店を運営する」という理由付けがされている。
これがプレイヤーに納得のいく理由でちゃんと説明される。
もし普通のゲームなら、唐突に料理店の運営が開始されていたことだろう。
しかし、そこをちゃんと一人の人間の思惑に絡めてくるストーリーラインは、さすがアトラスであり、こうした主人公たちと街の人の人間模様も丁寧に描かれるのは好印象だ。
キャラクター関連
前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』では、ハイランダーという戦士の一族の少年が主人公で、執政院の依頼を受けてエトリアの街にやって来るところから物語が始まった。
少年は怪異の発生源を調査するうち、ミズガルズ図書館という学術調査組織から派遣されたサイモン、アーサー、ラクーナの3人組と、怪異の発生源の遺跡にいた謎の少女フレドリカと出会う5人パーティーだった。
ミズガルズ図書館の3人は好きだったが、主人公がどうにも無口で感情移入がし辛い部分があった。
本作『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』は、ミズガルズ図書館で育った孤児の主人公とフラヴィオ、カレドニア公国で使命を受けた公女アリアンナ、各地を旅している2人組ベルトランとクロエという5人であり、年代も性格も別々の一行がパーティーとなる。
主人公以外で4人全員自己主張が激しい上、主人公にもお調子者のような選択肢が多く表示されるため、会話パートは前作と比べて賑やかで、楽しさはあった。
キャラクター説明の公式PV
ゲームの楽しさと難易度
自分は『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』『世界樹の迷宮IV 伝承の巨神』『世界樹の迷宮X (クロス)』はクリア済み(『世界樹の迷宮V 長き神話の果て』はプレイ中)だが、プレイ中に感じた楽しさや難易度についてはどうだったかを記す。
■シリーズ作の楽しさ順
楽しさについては、以下の順番の印象だ。
↑【楽しい】↑
1.新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士
2.新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
3.世界樹の迷宮IV 伝承の巨神
4.世界樹の迷宮X(クロス)
5.世界樹の迷宮III 星海の来訪者
↓【つまらない】↓
新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士
ファフニールの騎士は、全般的にプレイ中は快適にプレイし易い環境。
総じてバランスがいいゲームという事だろう。
ただ、演出面やキャラクターのやり取りは王道的ではあるものの、捻りはなく驚くような展開はなかった。
また、自分でPT構成や戦術を試行錯誤して運用を工夫する余地は少なく、有効な戦術が決まっている事もあり、そうした面での楽しみは少なかった。
試行錯誤という面では『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』の方が楽しかった。
新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
ミレニアムの少女は、グリモアのシステムの適当さやセーブ枠が1枠などでシステム面の不満が大きかった。
職の運用という面では、ピーキーなやり方が可能なのは面白かった要素。
ギルドハウスでゲストキャラがハウスキーパーになるシステムは面白く、特に探偵のオースティンはキャラが立っていて好きだった。
仮に『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』と同じ画面UIとシステムであれば、『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』は傑作になった可能性がある。
世界樹の迷宮IV 伝承の巨神
気球艇で大地や空を探索出来るのが他シリーズにない特長だが、フィールドの移動のウェイトが多く人によって評価は分かれるだろう。
自分は購入前の印象ほど楽しめなかった。
世界樹の迷宮IVで面白いのは、後半に連れて火力が凄まじくインフレしていく所だろう。
序盤は何だったのかと思うほど終盤はダメージの桁が違う。
ダンジョンの構造と攻略という面では、シリーズで最も工夫がされていて面白い印象だった。
世界樹の迷宮X(クロス)
世界樹の迷宮Xはこれまでの集大成という事もあり、シリーズ作の登場人物が出てくるが思い入れがないと印象の薄い作品になってしまうだろう。
職業やダンジョンは多いが、水増し感が強い。ストーリーもほぼあってないようなものだ。
クリアしても感銘は少なかった。
世界樹の迷宮III 星海の来訪者
序盤はダンジョン内のイベントが豊富だが、後半に連れイベントが無くなる事や、本編ダンジョンのボリュームが少ない事、大航海が面白くない事等から面白さという点では最も低くなった。
効率の良いレベル上げも、大航海クエストのボスをひたすら連戦で倒してレベルを上げる味気ないものとなっている。
クリア後要素は異常な難易度で、専用の特化パーティーを組む必要がある。
■シリーズ作の難易度順
難易度については、以下の印象だった。(基本、エキスパートまたは最も高難易度でプレイ)
↑【難しい】↑
1.世界樹の迷宮III 星海の来訪者(クリア後裏ボス)
2.新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士
3.世界樹の迷宮IV 伝承の巨神
4.世界樹の迷宮X(クロス)
5.新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
6.世界樹の迷宮III 星海の来訪者(表ストーリーボス)
↓【簡単】↓
世界樹の迷宮III 星海の来訪者(クリア後裏ボス)
超絶的な難易度。裏ボスに特化したパーティーとスキル構成にしないとまず勝つ事は不可能。
自分が使っていたパーティーは以下。(括弧内はサブクラス)
ウォリアー(ゾディアック)/ウォリアー(ゾディアック)/シノビ(パイレーツ)
ファランクス(ビーストキング)/モンク(プリンセス)
新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士
ファフニールの騎士はシリーズでも最も難しい部類だろう。特にボス戦が難しく非常に辛い。
データを取りボス戦用に緻密なチャートを作る。各ターンの最適な行動を行う。
その上で乱数の上振れ・ボスのデレ行動等が発生し、始めてクリアが可能になる。そんな難易度だ。
とにかく火力のある職とスキルを揃えないと話しにならない。
他のシリーズ作に比べて職の運用がマイルドなため火力を出し辛い点も、難易度に拍車を掛けている。
自分が使っていたパーティーは以下。
主人公:ファフニール/ベルトラン:パラディン
フラヴィオ:ガンナー/クロエ:ドクトルマグス/アリアンナ:プリンセス
世界樹の迷宮IV 伝承の巨神
世界樹の迷宮IVは表ボスでも比較的難しいと感じたが、ナイトシーカーやミスティック等の状態異常職が優秀な事。
またインペリアルやモノノフ等の高火力職が終盤にアンロックされるため、火力で押しきる事が可能だ。
自分が使っていたパーティーは以下。(括弧内はサブクラス)
インペリアル(モノノフ)/ナイトシーカー(モノノフ)/メディック(フォートレス)
ミスティック(ダンサー)/スナイパー(モノノフ)
世界樹の迷宮X(クロス)
世界樹の迷宮Xはシリーズで職業が最も多いが、火力を出せる職とサブクラスを選べば、それほど難易度は高くないと感じる。
自分が使っていたパーティーは以下。(括弧内はサブクラス)
プリンセス(メディック)/メディック(リーパー)/ブシドー(パラディン)
ガンナー(パラディン)/シノビ(ガンナー)
新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
ミレニアムの少女についてはボスが強くない事、また職やスキルを工夫する事で無法の運用が出来るため難易度は高くなかった。
特にブシドーの「無双の構え」+バードの「禁忌の輪舞曲」というコンボはオリジナリティも感じられて使っていて楽しかった。
パラディンを使わずにクリアしたのも自信になった。
とは言え世界樹については初心者だったため、千年ノ蒼樹海では戦闘の単調さが辛すぎて一度投げそうになった。
初期職業から転職する事で面白さが出てきたので、最後まで続ける事が出来た。
自分が使っていたパーティーは以下。
主人公:ブシドー/ラクーナ:ソードマン
サイモン:メディック/アーサー:バード/フレドリカ:ガンナー
世界樹の迷宮III 星海の来訪者(表ストーリーボス)
表ストーリーをクリアするだけなら比較的簡単で、適当なスキル構成でも十分クリアが可能。
但し裏ボスは激烈な難易度のため、適当なパーティーでクリアしている場合は大改編を求められる。
自分が使っていたパーティーは以下。(括弧内はサブクラス)
プリンセス(シノビ)/ファランクス(ショーグン)
バリスタ(ゾディアック)/モンク(ファランクス)/ゾディアック(ファランクス)
世界樹の迷宮シリーズと各作品の特徴
その他の評価点
高評価の項目 | 低評価の項目 |
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職業とPT構成についての考察
以下リンク先にて職業やPT構成について考察を述べています。
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