ゲームレビュー 新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士「遊びやすさが大幅に向上した世界樹の迷宮シリーズ屈指の良作」【3DS】

ゲームレビュー 新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士「遊びやすさが大幅に向上した世界樹の迷宮シリーズ屈指の良作」【3DS】

『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』(3DS版)ストーリークリア後の総評とレビュースコアを掲載します。
※難易度エキスパートで初見ストーリー表ボスクリア。
※DLC適用は更新データv1.2(バグ対応アップデート)とクラシックモードのイラスト「世界樹の冒険者」を適用。
※ニンテンドーeショップ(ニンテンドーeショップ 新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士購入ページ)にてDL購入(3,278円)。

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レビュースコア

ゲームタイトル スコア ランク 評価観点
新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士
8/10 A
  • メカニクス(アクション・操作性・戦闘)
    8/10
  • 世界観・ストーリー・登場人物
    8/10
  • グラフィック・モデリング・画面UI
    6/10
  • サウンド・BGM・音響効果
    9/10
  • インプレッション・熱中出来る要素
    8/10
  • クオリティ(バグ・ロード時間 etc)
    7/10
[寸評]
前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』(新世界樹1)もリメイク作として力が入っていたが、グリモアなど一部のシステムに問題を抱えていた。新世界樹1のいい点を継承し、悪い部分を改善した『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』(新世界樹2)は、シリーズでも屈指の良作の一つと言っていい。
ストーリーモードで随所に挿入される会話の掛け合いシーン、調整されたUIによる快適なプレイアビリティ、絶妙な戦闘バランスと多数の職ビルド、火力の撃ち合い必至のひりついた戦闘、難易度の高いダンジョンとF.O.E、古代祐三氏作曲による素晴らしいBGM。全てが一つのタイトルとして結実し、完成度が高いRPGとなっている。
記憶をリセットして最初からプレイしたい作品。
ダウンロード版では、手軽に体験版のプレイやゲームの購入が可能なので、未プレイの人はダンジョンRPGの入門編としてぜひ楽しんで欲しいタイトルだ。
残念なのは、本作新世界樹2については水準以上の良作になったにも関わらず、『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』のリメイクは結局作られなかった事だ。
3DSの生産停止とSwitchへの本格移行でアトラス的にも作る意味が無いのかもしれないが、シリーズファンにとっては評価の高い世界樹の迷宮IIIのリメイクは間違いなく需要があるはず。
是非ともアトラスには世界樹の迷宮を切り捨てないで欲しいと願う。

2022/6/6変更履歴 評価観点の記載を新形式に変更。
2022/10/27変更履歴 レビュースコアを7から8,ランクをB+からAに変更。評価観点等を変更。

  • ジャンル:ダンジョンRPG
  • プレイ人数:シングル
  • プラットフォーム:Nintendo 3DS
  • 発売日:2014年11月27日
  • 開発・販売:アトラス

レビュースコアの採点方法については以下リンクを参照。

総評

前作との変更
前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』からプレイアビリティに関する様々な点が改良され、不満が非常に少ない快適なゲーム性となった。

例えばグリモア関連全て、UIの調整、職業数の増加、セーブ枠の増加、敵ステータスの表示等だ。

また、DLC販売が今作からシリーズに初めて導入された。イラストの追加等はいい要素もあるが、金や経験をDLCで得られるようにするのは、元々の世界樹の迷宮のコンセプトである、ウィザードリィを現代に蘇らせるというものに反するのではないか。

これ以後もアトラスは女神転生シリーズでもDLCを積極的に取り入れており、ゲームデザインの姿勢に関して些かの不安はある。

グリモア関連の仕様
前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』で取って付けたようなシステムで極めて不評だった「グリモア」は、この新世界樹2でもあるが、一応きちんとシステム化された。

戦闘中に得たグリモアが何か分かるように、戦闘中、リザルト画面で表示され、ギルドハウスのグリモア管理画面ではUIもソートし易くなるなど、かなり改善されている。

戦闘中逐一グリモアチャンスや獲得グリモアが表示されるのは正直邪魔であり、表示オフのオプションを入れても良かったとは思う。

前作ではなかったグリモアトレード、グリモアリサイクルという機能も実装され、ギルドハウスにきたゲスト客の持っているグリモアと価値交換でトレードしたり、ギルドハウスにグリモアを預けておけば別のグリモアとトレードしてくれるなど、グリモア関連にはかなりテコ入れが入っている。

グリモアが一つしか装備できなかった新1と異なり、新2ではグリモアをレベルに応じて最大6つまで装備出来るようにも調整された。

(グリモアの登録数は、新世界樹1ではグリモア所持は一つのみだが、様々なグリモアをスロット数に応じて登録する仕様だった。※一つのグリモアは最大7つまで登録。
新世界樹2では、「グリモア合成」は廃止。またグリモアは個別で付け替えが容易になった。)

グリモア関連に力を入れている事が分かる公式PV

グリモアが戦闘後のランダム入手だった新世界樹1と異なり、新世界樹2では、グリモアトレードで欲しいグリモアと不要なグリモアをトレードしたり出来るほか、グリモアリサイクルではギルドハウスオーナーに渡したグリモアに相当する価値のグリモアをランダムで入手してくれるなど、新世界樹1よりは入手手段が格段に多くなっている。

また、新世界樹1では、低LVグリモアの使い道がなかったが、本作では低LVグリモアをグリモアリサイクルに出す事で、一定LV以上のグリモアと交換してくれるグリモアガチャがある。
交換グリモアは完全ランダムだが、高LVグリモアは交換レートが高いためそれだけで価値があり、リサイクル元になる低LVグリモアにも「交換用」という付加価値が付いた。

ただ、やはりビルドという面で見ると、ランダム要素が大きすぎるグリモアシステムはプレイヤーからすると扱い辛く、実際グリモアが採用されたのはシリーズでこの新世界樹2が最後になった。
大半のシリーズは「サブクラス」が採用されている。ビルドからランダム要素を廃したサブクラスは、グリモアよりも確かに扱いが容易だ。

本作の目玉は公国直営料理店の運営
本作では、ハイ・ラガード公宮に依頼され、冒険者たちは公国直営料理店を運営する事になる。
料理メニュー開発から始まり、料理を国内の地区で宣伝することで売れた料理は自分たちの売上げとして資金が増やせる。

都市開発で地区を充実させることで住民を増やし、客を増やして売上げ増につなげるといった要素もある。

公国直営料理店の公式PV

やや取って付けたような設定で、本格的なSLG要素はないものの、料理の会話シーンなどは丁寧で楽しい雰囲気が伝わってくる。
また、完成した料理のイラスト表示もされるのだが、本当に美味しそうだ。

直営料理店の展開では、単にゲーム側の都合だけで店が開かれるのではなく、NPCである料理人のレジィナにも自身の思惑がある。
レジィナには「自分の真の目的を達成するため主人公たちを利用して料理店を運営する」という理由付けがされている。
これがプレイヤーに納得のいく理由でちゃんと説明される。

もし普通のゲームなら、唐突に料理店の運営が開始されていたことだろう。
しかし、そこをちゃんと一人の人間の思惑に絡めてくるストーリーラインは、さすがアトラスであり、こうした主人公たちと街の人の人間模様も丁寧に描かれるのは好印象だ。

キャラクター関連
前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』では、ハイランダーという戦士の一族の少年が主人公で、執政院の依頼を受けてエトリアの街にやって来るところから物語が始まった。
少年は怪異の発生源を調査するうち、ミズガルズ図書館という学術調査組織から派遣されたサイモン、アーサー、ラクーナの3人組と、怪異の発生源の遺跡にいた謎の少女フレドリカと出会う5人パーティーだった。
ミズガルズ図書館の3人は好きだったが、主人公がどうにも無口で感情移入がし辛い部分があった。

本作『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』は、ミズガルズ図書館で育った孤児の主人公とフラヴィオ、カレドニア公国で使命を受けた公女アリアンナ、各地を旅している2人組ベルトランとクロエという5人であり、年代も性格も別々の一行がパーティーとなる。
主人公以外で4人全員自己主張が激しい上、主人公にもお調子者のような選択肢が多く表示されるため、会話パートは前作と比べて賑やかで、楽しさはあった。

キャラクター説明の公式PV

ゲームの楽しさと難易度

自分は『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』『世界樹の迷宮IV 伝承の巨神』『世界樹の迷宮X (クロス)』はクリア済み(『世界樹の迷宮V 長き神話の果て』はプレイ中)だが、プレイ中に感じた楽しさや難易度についてはどうだったかを記す。

■シリーズ作の楽しさ順
楽しさについては、以下の順番の印象だ。

↑【楽しい】↑
1.新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士
2.新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
3.世界樹の迷宮IV 伝承の巨神
4.世界樹の迷宮X(クロス)
5.世界樹の迷宮III 星海の来訪者
↓【つまらない】↓

新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士
ファフニールの騎士は、全般的にプレイ中は快適にプレイし易い環境。
総じてバランスがいいゲームという事だろう。
ただ、演出面やキャラクターのやり取りは王道的ではあるものの、捻りはなく驚くような展開はなかった。
また、自分でPT構成や戦術を試行錯誤して運用を工夫する余地は少なく、有効な戦術が決まっている事もあり、そうした面での楽しみは少なかった。
試行錯誤という面では『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』の方が楽しかった。

新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
ミレニアムの少女は、グリモアのシステムの適当さやセーブ枠が1枠などでシステム面の不満が大きかった。
職の運用という面では、ピーキーなやり方が可能なのは面白かった要素。
ギルドハウスでゲストキャラがハウスキーパーになるシステムは面白く、特に探偵のオースティンはキャラが立っていて好きだった。
仮に『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』と同じ画面UIとシステムであれば、『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』は傑作になった可能性がある。

世界樹の迷宮IV 伝承の巨神
気球艇で大地や空を探索出来るのが他シリーズにない特長だが、フィールドの移動のウェイトが多く人によって評価は分かれるだろう。
自分は購入前の印象ほど楽しめなかった。
世界樹の迷宮IVで面白いのは、後半に連れて火力が凄まじくインフレしていく所だろう。
序盤は何だったのかと思うほど終盤はダメージの桁が違う。
ダンジョンの構造と攻略という面では、シリーズで最も工夫がされていて面白い印象だった。

世界樹の迷宮X(クロス)
世界樹の迷宮Xはこれまでの集大成という事もあり、シリーズ作の登場人物が出てくるが思い入れがないと印象の薄い作品になってしまうだろう。
職業やダンジョンは多いが、水増し感が強い。ストーリーもほぼあってないようなものだ。
クリアしても感銘は少なかった。

世界樹の迷宮III 星海の来訪者
序盤はダンジョン内のイベントが豊富だが、後半に連れイベントが無くなる事や、本編ダンジョンのボリュームが少ない事、大航海が面白くない事等から面白さという点では最も低くなった。
効率の良いレベル上げも、大航海クエストのボスをひたすら連戦で倒してレベルを上げる味気ないものとなっている。
クリア後要素は異常な難易度で、専用の特化パーティーを組む必要がある。

■シリーズ作の難易度順
難易度については、以下の印象だった。(基本、エキスパートまたは最も高難易度でプレイ)

↑【難しい】↑
1.世界樹の迷宮III 星海の来訪者(クリア後裏ボス)
2.新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士
3.世界樹の迷宮IV 伝承の巨神
4.世界樹の迷宮X(クロス)
5.新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
6.世界樹の迷宮III 星海の来訪者(表ストーリーボス)
↓【簡単】↓

世界樹の迷宮III 星海の来訪者(クリア後裏ボス)
超絶的な難易度。裏ボスに特化したパーティーとスキル構成にしないとまず勝つ事は不可能。

自分が使っていたパーティーは以下。(括弧内はサブクラス)
ウォリアー(ゾディアック)/ウォリアー(ゾディアック)/シノビ(パイレーツ)
ファランクス(ビーストキング)/モンク(プリンセス)

新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士
ファフニールの騎士はシリーズでも最も難しい部類だろう。特にボス戦が難しく非常に辛い。
データを取りボス戦用に緻密なチャートを作る。各ターンの最適な行動を行う。
その上で乱数の上振れ・ボスのデレ行動等が発生し、始めてクリアが可能になる。そんな難易度だ。
とにかく火力のある職とスキルを揃えないと話しにならない。
他のシリーズ作に比べて職の運用がマイルドなため火力を出し辛い点も、難易度に拍車を掛けている。

自分が使っていたパーティーは以下。
主人公:ファフニール/ベルトラン:パラディン
フラヴィオ:ガンナー/クロエ:ドクトルマグス/アリアンナ:プリンセス

世界樹の迷宮IV 伝承の巨神
世界樹の迷宮IVは表ボスでも比較的難しいと感じたが、ナイトシーカーやミスティック等の状態異常職が優秀な事。
またインペリアルやモノノフ等の高火力職が終盤にアンロックされるため、火力で押しきる事が可能だ。

自分が使っていたパーティーは以下。(括弧内はサブクラス)
インペリアル(モノノフ)/ナイトシーカー(モノノフ)/メディック(フォートレス)
ミスティック(ダンサー)/スナイパー(モノノフ)

世界樹の迷宮X(クロス)
世界樹の迷宮Xはシリーズで職業が最も多いが、火力を出せる職とサブクラスを選べば、それほど難易度は高くないと感じる。

自分が使っていたパーティーは以下。(括弧内はサブクラス)
プリンセス(メディック)/メディック(リーパー)/ブシドー(パラディン)
ガンナー(パラディン)/シノビ(ガンナー)

新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
ミレニアムの少女についてはボスが強くない事、また職やスキルを工夫する事で無法の運用が出来るため難易度は高くなかった。
特にブシドーの「無双の構え」+バードの「禁忌の輪舞曲」というコンボはオリジナリティも感じられて使っていて楽しかった。
パラディンを使わずにクリアしたのも自信になった。
とは言え世界樹については初心者だったため、千年ノ蒼樹海では戦闘の単調さが辛すぎて一度投げそうになった。
初期職業から転職する事で面白さが出てきたので、最後まで続ける事が出来た。

自分が使っていたパーティーは以下。
主人公:ブシドー/ラクーナ:ソードマン
サイモン:メディック/アーサー:バード/フレドリカ:ガンナー

世界樹の迷宮III 星海の来訪者(表ストーリーボス)
表ストーリーをクリアするだけなら比較的簡単で、適当なスキル構成でも十分クリアが可能。
但し裏ボスは激烈な難易度のため、適当なパーティーでクリアしている場合は大改編を求められる。

自分が使っていたパーティーは以下。(括弧内はサブクラス)
プリンセス(シノビ)/ファランクス(ショーグン)
バリスタ(ゾディアック)/モンク(ファランクス)/ゾディアック(ファランクス)

世界樹の迷宮シリーズと各作品の特徴

タイトル 発売 機種 特徴
世界樹の迷宮 2007年1月18日 DS 第一作。現代版ウィザードリィがコンセプト。ゲームブック風のテキスト、古代祐三氏作曲のBGM、クラス制、スキルツリー、ダンジョンマップ作成、封じ、F.O.Eなど基本システムはシリーズ作に踏襲された。
世界樹の迷宮II 諸王の聖杯 2008年2月21日 DS 二作目。一作目の人気を受けて作られた続編。高難易度で知られた。
世界樹の迷宮III 星海の来訪者 2010年4月1日 DS 三作目。DS最終作。サブクラス、鍛冶、マルチエンディングと周回制、大航海など新規システムが導入。戦闘のテンポアップ。
世界樹の迷宮IV 伝承の巨神 2012年7月5日 3DS 四作目。この作品から3DSに移行。稀少個体、敵の隊列概念、気球艇での大地探索、小迷宮が導入。難易度選択追加。
新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 2013年6月27日 3DS 一作目のリメイク。ストーリーモード導入、倍速移動・戦闘、フロアジャンプ、ギルドハウス、漢字使用可などプレイアビリティが大きく向上。ボイス・ムービーによる演出強化。グリモアは賛否。
新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士 2014年11月27日 3DS 二作目のリメイク。ミレニアムの少女を継承し評判の悪い部分を改善。特にグリモア周辺のシステム整備とUIが大幅改善。職業数を新1の11から15へと増加。セーブ数を新1の1枠から9枠へ増加。公国直営料理店運営(料理メニュー開発、宣伝計画、都市開発)。敵ステータス表示。DLC発売初。
世界樹の迷宮V 長き神話の果て 2016年8月4日 3DS 五作目。キャラクターメイクに種族が追加。二つ名や召喚を導入。UIが大幅に変更。
世界樹の迷宮X(クロス) 2018年8月2日 3DS 六作目。シリーズ最終作。職業数と迷宮数は過去最多。詳細なキャラクターメイク。
世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER 2023年6月1日 Nintendo Switch,Steam 第1作から第3作までをHDリマスター化してリブート。プラットフォームはSwitchとSteamで発売される。DSの上下2画面を活かしたシステムだったマップの手描きも再現されている。

その他の評価点

高評価の項目 低評価の項目
  • キャラクター間の何気ない会話シーンが多い。(前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』よりも多い。)台詞に合わせて表情がかなり変わる。前作新1の主人公ハイランダーは寡黙なキャラだったが、新2の主人公は親友のフラヴィオがパーティーにいることもあり前作ほど無口ではなく、掛け合いの内容が多いので見ていて飽きない。
  • 体験版(DL)のボリュームがあり、かなりの時間体験版でのプレイが可能。
  • 世界樹シリーズ自体が3DSの販売終了に伴いソフト自体も入手し辛くなっているが、本作は体験版・製品版含めてニンテンドーeショップでダウンロード可能で入手がし易い。
  • 本作『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』でゲームのフォーマットとしてようやく完成が見られ、これ以後の発売の世界樹の迷宮Ⅴ、世界樹の迷宮Xでも踏襲されている。迷宮の歩行速度、メッセージ表示速度、オート戦闘速度は快適な速度に変更が可能。UIはプレイし易いように調整され、迷宮のフロアジャンプの実装、敵ステータスの表示、セーブデータの増加等、過去作から大幅にプレイアビリティが向上している。
  • 『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』(11職)から職業が15職に増加。極端に強すぎる職も一部あるが、比較的バランスが取られている方だろう。
  • セーブ枠が前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』(1枠)から9枠へと大幅増加。(SDカードが必須。)ストーリーモードとクラシックモードを別のセーブデータで並行して進めることも可能。
  • 本作『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』から、世界樹シリーズでのDLC配信が開始された。DLC商法といえばそれまでだが、DLCコンテンツの数は多いので、DLCでもっと世界観や戦闘を楽しみたい人には適している。
  • 前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』では、ストーリーモードへの優遇措置、クラシックモードへの不遇が目立っていたが、本作ではクラシックモード、ストーリーモードとも特に制限なく遊べるようになっている。但しストーリーモードの一部職についてはアンロック条件を満たすことで使用可能になる。
  • 古代祐三氏作曲のOP「Reaching out for our future」(歌:いとうかなこ)や、「街景 伝説に名を刻む者」「街景 北に広がる大地」「戦場 初陣」「戦場 振り上げし刃」などゲームを盛り上げる素晴らしいBGMの数々。
  • CV声優陣の演技が良い。特に藤原啓治さんのベルトランがパーティー唯一の「オヤジ」としていい味を出している。
  • 歴代シリーズでもバグが多く本作にも出荷版でバグがあったが、更新データv1.2でフィックスされている。
  • グリモアについて。本文でも書いたが前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』の不評だったグリモアの入手手段、使用感、UIがある程度は改善されている。レベルの段階に応じてグリモアの装備枠が増加、グリモア枠にグリモアを一つ装備、グリモアトレードで他のグリモアと等価交換が可能、グリモアリサイクルで低レベルの不要グリモアを高レベルグリモアとトレード可能など。グリモアの入手手段が増え、戦闘での偶発的な入手に頼らなくて良くなった。グリモアの装備も一つずつ着脱可能に変更になり、用途毎に着脱出来るように使いやすさが増している。
    とはいえ、それでも大味なシステムのため使いづらいのだが、前作から一定の改善がされた事はプラスと考えるべきだろう。
  • 手書きのマッピングが売りの世界樹シリーズだが、以前のシリーズ作は何に使うのか分からないアイコンが多かった。本作から、マッピングアイコンが整理され、地図描きに適したイメージし易いアイコンが揃えられた。とはいえ、まだ使い辛い。
  • 前作新1ではイベントムービーがストーリーの要所に挿入されていたが、本作ではムービーシーンがOPしかない。代わりに本作では一枚絵の挿入があり、演出は全般的に本作の方が力が入っている。
  • リメイク元から全フロアの階層構造が変更されているため、リメイク元をプレイしていても新鮮な気持ちで楽しめる。(リメイク元未プレイ者には余り関係がないが。)
  • キャラボイスは似たようなシチュエーションでの使い回しも多いが、ボイス量自体は多い。
  • クリア後特典でアルバムやボイス、BGMが聞ける。
  • シリーズを担当しているシナリオライターの癖なのか、「い抜き言葉」が使われているのが気になる。他の世界樹シリーズでも幾つか散見されたが、本作でも使われているシーンがある。(更新データv1.2で確認)。語り手がい抜き言葉を使うのは誤った使用法である。また、こうした言葉が毎回製品版に見られるのは、社内のテスト段階で指摘されないのかという疑問も感じる。
    プレイ中に確認した一例
    ■衛士ブリッジを見つけるシーンでナレーションの台詞「そう言って、男は自身も深手を負ってるにも関わらず、木々の影に隠していた3人の仲間を指差す。」
    ■天空の城24Fでナレーションの台詞「・・・フラヴィオの言うとおり、響く声は淡々としてるようにも聞こえるが」
    (テスターが指摘していてもプロジェクトや担当者の判断で修正しないというケースもある。)
  • 会話シーンの多くで主人公の回答を複数の選択肢から選べるのだが、個人的に違和感を感じるものが幾つかあった。大半の選択肢では主人公が回答しそうな内容を最初に提示されるが、残りの選択肢のうち明らかに奇を衒っただけのような不可解な選択肢が提示された。
    またそれほど内容が変わらないのに4択以上になる選択肢もある。
  • (ストーリーモードの)ストーリーの盛り上がりという点では、中盤までがクライマックスで、それ以降は淡々とストーリーで攻略先の迷宮を消化するだけになってしまっている。
  • 封じスキルで敵の部位封じをした場合、解除されるまでのターン数が短く、恩恵が少ない。(特にボス戦)ダークハンター(スキル「エクスタシー」)を使う場合は唯一封じからダメージが伸びる恩恵はあるが、それ以外の職では苦労して封じを成功させても直ぐに回復されてしまい、労力に見合わない。
    封じスキルを有効に活かすにはエクスタシーをグリモア化するくらいしかないのだろうか。
  • 一部職(ハイランダー)が無料で使用出来ない。DLC購入のみとなっている。(当初、期間限定の無料期間後にDLC販売となった。)
  • 他シリーズに比べると職バランスはまだ取れている方だが、それでもファフニール、パラディン、プリン(セ)ス、ドクトルマグスの性能が飛び抜けて高い。(ファフニールは主人公なので仕方ないが。)
    パラディンは物理3属性全て扱える。物理戦闘専門職のソードマンですら物理2属性しか扱えない。パラディンは防御スキル、TP総量、ステータスでソードマンを上回り、ソードマンの上位互換のような性能。プリン(セ)スは特定のボス戦にほぼ必須と言えるスキルを唯一持っている。ドクトルマグスは一人で攻撃+各種回復+バステ付与という複数の役割をこなせる。
  • 3色属性攻撃で着火してからの、プリンス/プリンセスやグリモア持ちがリンクオーダーというコンボが安定で強すぎるため、戦術の幅が少ない。
  • 公国直営料理店の運営のゲーム性が低い。迷宮で魔物(動植物)を狩って食材を持ち帰り、料理人のレジィナに料理メニューを開発してもらい、宣伝する地区と食材を選び、売上げがパーティーの軍資金に入るという感じで進むが、食材が沢山ある料理を売上げが伸びそうな地区に適当に指定するだけで、ミニゲームというレベルにも達していない。レジィナのキャラ付けは上手く設定されているが、料理店の運営についてゲーム性は感じなかった。
  • おまけのミニゲームと割り切ればいいのかもしれないが、宣伝のたびに料理店に立ち寄るのが面倒だった。料理店の運営をCPUオートにして、プレイヤーが売上げを確認するだけのシステムの方が良かったのでは。
  • 料理に付いてはイラストは美味しそうだが、イラストが小さいのでよく見えず残念だった。もっと大きく表示して良かったのではないか。
  • ギルドハウスが料理店の中にあり、アイテム管理、グリモア装備やグリモアトレードのたびに毎回、料理店に立ち寄るのが変な感覚だった。特にグリモア着脱はギルドハウスでしか行えないため、グリモアを変更するだけでギルドハウスに立ち寄るのがかなり面倒だ。
  • 料理(探索準備)でバフを付けたりアイテムを管理するという部分だけ取れば、前作新世界樹1くらい簡潔な方が良かった。
  • 食材の在庫が最大99と少なく在庫の取り溜めが出来ない。
  • グリモアトレード画面のソート順設定で、最高レベルの「★」が最上位に表示されず、LV5あたりに表示される。本来はソート順で最上位か最下位のどちらかに表示されないとおかしい。
  • オープニングムービーは素晴らしい出来だが、本編で登場するボスのネタバレになっている。
  • プレイ中セーブデータをロードしてやり直すには、一度タイトル画面に戻らないといけない。
  • 表ストーリークリア後にプレイを続ける時の説明や、「★New Game」を選んだ場合の説明が一切ない。「★New Game」を選んだ場合は、レベルや装備を引き継ぐセーブデータを選び、その状態を引き継いでストーリーの最初からプレイとなる。例えば表ボスをクリアしたセーブデータを選ぶと、ボスクリア直後のステータスや装備になり、ストーリー的には一番最初から(名前付けから)新規ゲームが始まる。
    クリアデータをロードしてゲームを続けた場合は、フラグ的には表ボスを倒した後の状態からで、通常通り街から開始される。酒場に新規クエストが発生し、まだマップや階層の未踏の部分をプレイ出来る。
    これらの説明は、前作『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』ではクリア後にプレイを続ける場合の説明が表示された。同じシリーズ作で説明があったりなかったりするのは、残念だが手抜きとしか言いようがない。

職業とPT構成についての考察

以下リンク先にて職業やPT構成について考察を述べています。

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