世界樹と不思議のダンジョン ゲームレビュー「ライトに遊べる世界樹系ローグライク」【3DS】

世界樹と不思議のダンジョン ゲームレビュー「ライトに遊べる世界樹系ローグライク」【3DS】

『世界樹と不思議のダンジョン』(3DS版)ストーリークリア後の総評とレビュースコアを掲載します。
※アトラスサマーセールでダウンロード購入(1,000円)。
※ストーリーは表ストーリー(第7階層まで)をクリア。

【世界樹と不思議のダンジョン】ティザー映像

世界樹と不思議のダンジョン公式サイト


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レビュースコア

ゲームタイトル スコア ランク 評価観点
世界樹と不思議のダンジョン
5/10 D
  • メカニクス(アクション・操作性・戦闘)
    5/10
  • 世界観・ストーリー・登場人物
    5/10
  • グラフィック・モデリング・画面UI
    5/10
  • サウンド・BGM・音響効果
    6/10
  • インプレッション・熱中出来る要素
    4/10
  • クオリティ(バグ・ロード時間 etc)
    3/10
[寸評]
アトラスの看板タイトルである『世界樹の迷宮』に、スパイク・チュンソフトの『不思議のダンジョン』シリーズをコラボレーションしたゲーム。通称は『セカダン』。
不思議のダンジョンのシステムをベースに、世界観や職業を世界樹の迷宮から持ってきている。
不思議のダンジョンはトルネコやシレン等が代表的タイトルだが、本家では飽くまでも操作キャラは一人だった。
世界樹と不思議のダンジョンでは、4人までのパーティーを組み、リーダーキャラを操作する。
システム的にはオリジナリティを出すため様々な工夫が感じられるものの、人気タイトル同士を掛け合わせる難しさ故か余りいい出来にはならなかった。
特に、自分が操作するキャラ以外はAIが動かすことになるが、AIの頭が非常に悪く、状況に合わない行動が多い。
当サイトでの評価は10点中5点としたが、メタクリティックでのメタスコアは77(ユーザースコア7.9)。意外にも高評価を得ている。
  • ジャンル:ローグライクRPG
  • プレイ人数:シングル
  • プラットフォーム:Nintendo 3DS
  • 発売日:2015年3月5日
  • 開発・販売:スパイク・チュンソフト/アトラス

レビュースコアの採点方法については以下リンクを参照。

総評

【世界樹と不思議のダンジョン】PV #2

2017年に『世界樹と不思議のダンジョン2』をプレイしてレビュー済みであるため、『世界樹と不思議のダンジョン』がどういうゲームかは知っていて、本来買う予定もなかったのだが、2022年のアトラスサマーセールにて1,000円という価格だった事、また今後ニンテンドーサイトで3DSのダウンロード購入が出来なくなる懸念があるため、駆け込み的に購入した。

ゲーム内容は、続編の『世界樹と不思議のダンジョン2』とほぼ同じ。
街の冒険者ギルドで冒険者を登録し、4人パーティーを組む。
世界樹の迷宮の各ダンジョンへ気球で移動して、ダンジョンを探索する。
『世界樹と不思議のダンジョン2』の仕様的には以下にまとめているが、1と2はほとんど同じだった。

ダンジョン内の店で印石の回数を合成でまとめられる分、2の方が少しユーザーに優しい作りになっている。

『世界樹の迷宮』は3Dダンジョンと自分で地図を描く機能が売りだが、本作は2D上でダンジョンが描かれ、毎回入るたびにダンジョンの形状が異なる。
世界樹の迷宮要素としては、キャラの職業やスキル名称・スキル効果、「アリアドネの糸」「アムリタ」等のアイテム名やアイテム効果が一部共通になっている事だろう。
よってオリジナルの『世界樹の迷宮』の雰囲気は少しだけ感じられるものの、ゲーム性としては完全に別ゲーである。

『世界樹と不思議のダンジョン』では、ダンジョンで操作出来るキャラはリーダーキャラのみとなっている。(リーダーはいつでも変更可能。)
都度クエストやミッションを受けて、ダンジョンで目的の採集物やモンスターを倒し攻略していく。

ファミ通によるプレイ動画
<特集:注目タイトル 動画で見せます!>『世界樹と不思議のダンジョン』

ダンジョンは「不思議のダンジョン」形式で、階段を探して各フロアを回りひたすら下に下りていく形式。
『世界樹の迷宮』と異なり地図を描く機能はない。マップは勝手にDSの下画面に作成されていく。
ダンジョンというには構造やスケール感は狭く、どちらかというとアトラクション的な印象が近い。
攻略は特に難しくはないが、TPが直ぐに枯渇するため、大量のアムリタを持ち歩く必要があるのが厄介だった。
(TP……世界樹の迷宮でスキルや魔法を使用する際に消費するMPのようなもの。)

このゲームの特徴としては「砦」と呼ばれる建造物をダンジョンのフロアに建築可能な事だろう。
砦を作っておけば次回はそのポイントからダンジョンに突入出来るため、ショートカット出来たり、D.O.Eと呼ばれるモンスターの襲来から街を護る機能も砦が担っている。

プレイしてみると、自分が思っていたよりも登場人物やストーリーに思ったより力が入っていた。
自分は『世界樹と不思議のダンジョン2』をクリア済みだが、2ではそこまで力を入れている印象がなかったため、意外な驚きだった。(2が酷かっただけかもしれないが。)

ゲーム全体として見るとライトに遊べることが特徴で、続けると謎の中毒性がある。
しかしゲーム性は浅いと言わざるを得ず、数々の問題点から、とてもクリア後要素までやろうという気は起こらなかった。
自分はセール価格で買ったためこの内容でも満足しているが、もしフルプライス(パッケージ版は6,980円+税別)で購入していたとしたら、間違いなく不満に感じていただろう。
この辺りは『世界樹と不思議のダンジョン2』のレビューでも指摘していた点だ。

結局『世界樹と不思議のダンジョン』はシリーズ2作が作られたものの、問題点が最後まで解消されずそれ以降続編が作られることはないまま、3DSでのリリースは終了してしまった。
もう少し丁寧に作られていれば、と思う点が多い本作だが、未だ改善の余地があり面白くなる可能性はまだ残されている。
このままIPとしては消滅してしまうのだろうか。

その他の評価点

高評価の項目 低評価の項目
  • 登場人物のキャラ設定やストーリーに力が入っている。
  • 画面UIやフォントが見やすい。一枚絵が美麗。
  • クエスト報告でギルド全員に経験が入る、砦に派遣すると冒険に出ていないキャラにも経験が入るなど、レベルアップをそれほど意識せず色んなキャラの使用感を楽しめる。
  • 世界樹の迷宮シリーズのBGMのアレンジ曲が使われている。
  • 冒険者名の登録をランダム(自動)で付けられる。今作では大量の冒険者を登録する必要があるため、非常に便利。
  • 店でアイテムの売却時に、倉庫の中のアイテムも指定して売ることが出来て便利。売買は個数の指定が可能。
  • 世界樹の迷宮のクラス(職)のスキルを再現しようとしている。
  • そもそもゲーム性が全く異なる世界樹の迷宮と不思議のダンジョンのミックスに無理があった。どちらのゲーム性も中途半端になっており、ゲーム性が浅い。ライトなゲームだと割り切れば楽しめる。
  • 序盤は目新しさもあり面白いが、単調な展開のダンジョンを20~30階も下りていき、湧きまくるD.O.Eをもぐら叩きのように倒して回る必要があるため、後半に連れて苦痛になる。10階くらいならまだしも、30階も下りる必要があるのはさすがにやり過ぎ。
  • ダンジョンの形状は毎回変化するが、ダンジョンの構造のパターン自体が少ない。
  • D.O.Eが町に侵入する事を防ぐため、砦の建設が必須となっている。砦を建設するとダンジョンの構造が固定化されるのだが、「冒険の舞台となるダンジョンは挑戦するたび地形が変化。アイテムやモンスター、宝箱や罠の位置まですべてが変化。毎回新鮮でスリリングな探索を楽しめる!(出展:公式サイト)」というコンセプトに合っていない。
  • 同じような印石が嵩(かさ)張り、まとめられない。(続編の『世界樹と不思議のダンジョン2』では改善された。)
  • リーダー以外のキャラはAIが動かすが、AIが最適な行動をせず何もしない事が多い。部屋にリーダーだけが入ると、他のキャラは出来る行動があっても傍観する事が極めて多い。攻撃レンジが届いても何もしない事が頻繁にある。都度リーダーキャラを切り替えて任意で動かせるとはいえ、AIの問題を解決せずにリリースした品質には疑問が残る。(ボス戦のみ全員操作可能。ブラストスキルの「全員指揮」を使えばボス戦以外でも全員操作が可能である。)
  • 一部クエストが有料DLCで販売される。
  • D.O.Eやボスはバリアに覆われており、バリアを解除しないと攻撃がほとんど通らない。バリアの解除には状態異常か封じが必須となっており(例外的にソードマンのリンクスキルでも解除可能)、パーティー構成や所持アイテムによっては詰み状況が結構ある。このため、D.O.Eやボス戦がかなり面倒なものになっている。
  • ストーリーを進行してもダンジョン帰還アイテムのアリアドネの糸が店売りされないため、ダンジョンからの帰還がかなり面倒くさい。(原作世界樹の迷宮では店売りアイテム)ダンジョンから帰還するスキルもない。糸がない場合、1Fの階段または、樹海磁軸からしか帰還方法がない。糸を入手するには、クエストを受注してグラスイーターを倒し飛蝗の脚を2個入手する必要がある。但し、ダーナ直売店に2個以上売っても、クエスト達成品として貰える糸は1個だけである。(正当に受け取るには2個売却⇒クエスト報告⇒クエスト受注⇒2個売却⇒報告・・・を繰り返す必要がある。)
  • 敵の発生率が非常に高く、部屋の敵を倒しても通路に沸いたりする。リーダーキャラで敵を無視しようと思ってもパーティーキャラのAIが勝手に敵に引っ掛かって戦闘を始めてしまい、敵を無視して進むことが極めて困難になっている。AIの挙動制御で戦闘を避けるといったオプションもない。そのため戦闘で逃げ続ける事はほとんど不可能(一部の印石等を駆使すれば可能だが)で、結果として1プレイ時間が非常に長くなってしまう。一応ダンジョン内での一時的なゲーム中断も可能だが、1プレイに長時間かかってしまうのはゲーム性に合っていない。
  • 敵の湧く量が多すぎるため、スキルを使っての戦闘をするとTPが直ぐに枯渇する。琥珀床でTPを一定量回復出来るが、戦闘回数に対して回復量が見合っていない。
  • ダンジョンで見つかるアイテムや装備品がゴミばかりで、探索をする意味が薄い。ピンチの時に探索をしてアイテムで一発逆転を狙うというシチュエーションもない。下り階段を探して即下りするだけのゲームになっている。
  • 装備に対して強化や合成が可能となっている。合成はプラスの付いた装備を別の装備に上書きするだけで、オリジナルの「不思議のダンジョン」での合成の妙や面白さはこのゲームではない。
  • 4人パーティーのため、一人が空腹になってもリーダーキャラを切り替えれば済む話であり、実質FP(満腹度)のステータスの意味がない。
  • AIが操作するキャラがしょっちゅう迷子になり、どこかへ行ってしまう。全員の位置を戻すにはアイテムを使うかブラストスキルを使う必要がある。
  • ダンジョン内に時折り出現する「赤獅子商店」でアイテム売買が可能だが、碌な物が売っていない。
  • 「食堂琥珀軒」のメニューの「食堂の客」で噂話のような物が聞けるが、テキストが長い上に中身がない場合が多い。本家『世界樹の迷宮』にある文章の妙やテキストセンスが全く感じられない。
  • 敵やアイテムが多過ぎると頻繁に処理落ちする。
  • プリンス(プリンセス)の号令スキルが自分自身に対しては高確率で失敗してかからない。これは「仕様」らしいが、回復役としてプリンスを連れている場合、庇護の号令がかからないことで死亡し易い。ネクタルか世界樹の葉がないとそのまま全滅に直結してしまう。

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