ニンテンドー3DSのローグライクゲーム「世界樹と不思議のダンジョン2」ストーリーの最終ダンジョンをクリアしたので総評とレビュースコアを掲載します。
クリア時間・クリア時のデータなどは以下で記しています。
レビュースコア
世界樹と不思議のダンジョン2
60点(/100点)
総評
「風来のシレン」のように1ターンにパーティーと敵全てが行動するタイプのローグライクゲーム。
シレンは操作キャラクターが一人だが、こちらは4人パーティーを組んで一人を操作し、残りのメンバーはAIで自動行動になる。
世界樹の迷宮シリーズと不思議のダンジョンシリーズを合体させたコラボ作品。
アトラスのゲームらしく、システム面などは丁寧に作られている。
ダンジョン潜る、敵と戦闘、アイテム拾う、生還、店で売買、強いアイテムを買うのループでハックスラッシュの雰囲気でプレイ出来る。
延々とプレイ出来るため止め時が難しいゲームの反面、同じような構造のダンジョンを延々と繰り返すため、飽きやすくもある。
ローグライクというゲームの形は優れているのだが、このゲームの場合、全体的にゲームの流れが単調で、それに対する味付けが上手く出来ていないのではないか。
ダンジョンというタイトルが付いている割にダンジョンが単調なのが一番の問題のように感じる。
ダンジョンの階層は狭くひたすら下り階段を探して降りていくだけ。
フロアはイベントもなく「怪しい迷宮ショップ」がある程度。
戦闘の焦点は弱点と耐性に対しての属性組み合わせだけ。
動的な変化はD.O.Eを除いて何も起きない。
D.O.Eが出ても単なるお邪魔虫で相手をするのが面倒なだけで、戦闘もただデバフを当てるだけで倒しても得られるものがなく、緊張感のある戦闘やここぞというイベントになっていない。
ゲームを始めたばかりの序盤と、ストーリーがクライマックスに差し掛かる最終盤では、これらの点は余り気にならないものの、全体としてはやはりどうにか出来なかったかと思える。
仕様を変えるとしたらこの辺りだろうか。
- ダンジョン内のイベントを増やす
- ダンジョン内での遭遇を味方のキャラクターだけでなく悪のパーティーや敵キャラクターも出現させる
- 敵の種類や攻撃手段を増やす
- 全体的な危険とそれに見合うリターン(報酬)を大きくする
- トラップを凶悪にし、1歩の歩みにも神経を使うほどにする
- PCの持てるリソースを限定する(現状、アイテム制限のみ厳しく他は何でもありなので、 例えば魔法は回数制にしたり、武器は刃こぼれして磨耗するなど、リソースに制限を加える)
- ダンジョンに設置出来る設備を砦以外に増やす
- ダンジョンに仕掛けやリドルなどのギミックを入れ攻略難易度を上げる
- 砦や設備を拡張可能にする
- フロアの広さを数倍に拡張しダンジョンの攻略を緊迫感あるものにする
- D.O.E戦のリスクとリターンを大きくする
いずれにせよ、現状ではスマホゲーで出てもおかしくない程度のライトなゲームになっており、ローグライクでダンジョンの攻略を存分に堪能するという所までのディープなゲームにはなっていない。
しかし、そう言いつつもかなり楽しんだことも事実であり、少し甘めにレビュースコアを付けて60点としている。
その他の評価点
[good]
- ローグライク、ハクスラが3DSでプレイ出来る。
- ストーリーが少しひねってある。
- 枚数は少ないが、一枚絵が美しい。
- シーンを盛り上げるBGMの数々。(なお、クリア後に「タイトル画面>Option>サウンド>楽曲を再生する」から全BGMを再生して聞くことが出来る。)
- バグや文字化けがなく動作が安定している。
- メッセージが「君達は最下層へと続く階段に辿り着いたようだ。」のようにゲームブックやTRPGをプレイしているかのような説明や情景描写がされる。オールドファンには思わず懐かしさがこみ上げるかもしれない。
- 比較的丁寧、親切設計に作られている。(クエスト品がある場合、工房で間違えて売らないようにアドバイスが表示されるなど)
[bad]
- このゲームではキャラクターとなる冒険者を任意に登録、削除する形式のため、特にこれが主人公というキャラクターは登場しないが、地の文章が一人称で語られるので、語り手を「主人公」と見なす事は出来る。
語り手から不思議なダンジョンを目指す動機が語られないので、なぜそこを目指しているのかが「プレイヤー」には分からない。
例えば、同じローグライクの「トルネコの大冒険シリーズ」では、
- トルネコは武器屋(商人)
- 自分の店を持つことが夢
- 不思議なダンジョンに凄い宝が眠っているらしい
- ダンジョンで宝を見つけて自分の店を大きくしたい
というキャラクターの設定・動機・目的が提示されていて、プレイヤーは自然にゲームの目的やキャラクターを理解してプレイ出来る。プレイヤーに核心となる情報を隠蔽してストーリーを進める手法もあるが、このゲームでは「語り手(主人公)」が持つ動機を「プレイヤー」に隠す理由が全くない。そうであれば公開すべきなのだが、そうしないのは単に手抜き(というかシステム面の練り込み不足)と感じてしまう。
- 敵モンスターが使い回しの色違いが多い。
- メンバーを自動で動かすAIのプログラムがかなり頭が悪く状況判断が杜撰。誰かがHPが少なくなったりバッドステータスを食らって回復、という場面ではほぼAI側で適切な行動を取れるが、それ以外のイレギュラーな状況になると上手く状況判断が出来ないことが多くストレスが溜まる。
例えば敵に攻撃するには、(部屋中が範囲のスキルは別として)敵に隣接するか、敵の直線上に入る必要があるが、攻撃出来る位置取りをせず、いつまでも斜めに移動と元の位置に戻るを繰り返すことがある。
また、TPがなくなっていてアイテムにはTP回復アイテムが十分あるにも関わらず、自動でTPを回復しなかったり、麻痺にかかったモンスターやD.O.Eを攻撃せずうろついているだけで、適切な行動が取れない。
そのため、プレイヤー側で適宜リーダーを変更してプレイしなければならない場面が多い。
前作もAIが頭が悪く不満という評価があったため、改善されていないのではないか。 - 上記にも関係するが、前作の問題点の修正が見られない。このゲームは2ということで続編なのだが、前作の問題点や改善点がほとんど修正されていないように見受けられる。
筆者は前作をプレイしていないため、動画を見た範囲でしか分からないが、システムはほとんど同じで、AIの頭の悪さも同じ。
にも関わらず、基本システムに手を入れず、クラスの数の増加やサブクラスの追加など、既にある部分の水増ししか対応が行われていない。
本来はダンジョンの構造の工夫や、AIの改良などにもっと開発リソースを向けるべきだったのではないか。
- 出てくるダンジョンの構造や風景がどれも似通っているため、ダンジョンというより、ビルの最上階から下まで降りていくだけのようなゲームになっている。ダンジョンはランダム生成らしいが、固定構造にしてダンジョンの雰囲気や構造を工夫すべきではなかったかと思える。ダンジョンにギミックやリドル(謎掛け)がほとんどないのも寂しい。
- アイテム制限枠が厳しい上、食料を一つのアイテムとしてまとめられないため、大量の食料を持ち歩かなければならず、毎回工房で食料を仕入れることや、頻繁にFPを回復させる必要があるので煩わしい。
改善点を挙げるなら、以下のようなものが考えられる。
- 食料を一つのアイテムとしてまとめられるようにする。(印石のようにアイテムをまとめる機能自体はある。)
- ダンジョンで倒したモンスターをその場で料理して食料を調達出来るようにする。
料理はスキル扱いにし、上手く調理出来たかどうか判定を入れて失敗した料理はFPがほとんど回復しない、大成功した料理はFPが大きく回復するなどちょっとした変化があると面白い。また、料理専用のクラス(料理人など)を新しいクラスとして作っても良かったと思う。
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