GNOSIA(グノーシア) ゲームレビュー「愛と憎しみが奏でる傑作スペース人狼オペラ」【Steam】

GNOSIA(グノーシア) ゲームレビュー「愛と憎しみが奏でる傑作スペース人狼オペラ」【Steam】

Steam版『GNOSIA(グノーシア)』をストーリークリアしたので、クリア後のゲーム総評とレビュースコアを掲載します。
※購入価格はSteamでの購入(2,750円)。

Steam購入サイト

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レビュースコア

ゲームタイトル スコア ランク 評価観点
GNOSIA
7/10 B
  • メカニクス(アクション・操作性・戦闘)
    6/10
  • 世界観・ストーリー・登場人物
    8/10
  • グラフィック・モデリング・画面UI
    7/10
  • サウンド・BGM・音響効果
    7/10
  • インプレッション・熱中出来る要素
    7/10
  • クオリティ(バグ・ロード時間 etc)
    8/10
[寸評]
人狼(じんろう)とは、人間側と人狼側の陣営に分かれ、互いの会話から、誰が人狼かを推理して当てるという複数人で行うパーティーゲームだ。
ネットやアプリが発達したことで、人狼はオンラインを中心に不特定多数でプレイするゲームとして人気で、日本でも人狼ジャッジメントや人狼殺などのアプリで数年前に大流行した。
宇宙人狼の『Among Us(アマングアス)』や雪山人狼の『Project Winter』などの舞台やシステムを変えた人狼も人気コンテンツになった。
『グノーシア』は、閉ざされた宇宙船内が舞台になる『SF一人用人狼』と呼べる内容だ。ただ、それだけではなく、独創的なアドベンチャーゲームでもある。
宇宙船内に現れた汚染された人間「グノーシア」が一晩に乗組員を一人ずつ殺していく。人間側は全滅する前に誰がグノーシアなのかの正体を見破り、投票でグノーシア側をコールドスリープに追い込めば人間側が勝利。
グノーシア側が生き残り人間の数を上回れば、グノーシア側の勝利となる。
勝利・敗北どちらでも、終了後は一日目に時間が巻き戻る。
つまり主人公は一定の時間の中を何度もループしており、繰り返す同じ時間の中で、人間とグノーシアによる人狼当てを何度もやらされる。
最初は与えられた条件の中でグノーシアと戦うしかないが、ストーリーの途中からは、初期条件を自由に変えられるようになり、乗員以外の役割になることが出来る。(グノーシアすら役割として選べる。)
そのためゲームの目的は、グノーシアに勝ちループを生き残ることよりも、何故主人公たちはループを繰り返しているのかという真相に迫ることになる。
『グノーシア』は、PS Vitaで2019年6月に発売され、次いでニンテンドースイッチに2020年4月に移植された。
何れのハードでも高評価となり、2022年1月に満を持してSteam版の配信が開始。
各ハードで移植を重ねてきただけに、システム面やグラフィックはSteamでも洗練されている。
ただ、Steam版ではやや不安定な面があるのか、配信後もパッチが繰り返されている。
自分も、画面が真っ黒になる現象が一度起きた。
2022/2/22変更履歴 レビュースコアを8から7,ランクをAからBに変更。
2022/5/10変更履歴 評価観点の記載を新形式に変更。
2022/5/16変更履歴 文章、評価観点等を変更。
  • ジャンル:SF人狼アドベンチャー
  • プレイ人数:シングル
  • プラットフォーム:PlayStation Vita, Nintendo Switch, Steam
  • 発売日:2016年6月20日(PSVita)/2020年4月30日(Switch)/2022年1月23日(Steam)
  • 開発:プチデポット
  • パブリッシャー:Vita:メビウス/Switch:プチデポット/Switch, Steam:PLAYISM

レビュースコアの採点方法については以下リンクを参照。

総評

『グノーシア』Steam版トレーラー

グノーシアはPS Vitaで発売された後、クチコミやレビューで高評価と聞いていて、いつかプレイしたいと思いながら、遂にSteamで発売されたので、ようやく購入してプレイをする事が出来た。

購入前は、一人用でプレイするSF版の人狼ゲームと思っていたが、実際にはストーリーメインのSFアドベンチャーゲームだった。
(このゲームのジャンルをシミュレーションやシミュレーターと書いているレビューや記事が多いが、ゲームのヘルプの中で「アドベンチャーゲーム」と明記してあるため、この記事ではアドベンチャーゲームとして扱う。)

ストーリーメインといっても、人狼をしない事にはストーリーが進まないため、人狼をひたすらプレイし続け、イベントの発生を狙うのがプレイスタイルになる。
このグノーシアでの人狼は、自分でパラメータを設定出来る。
初期設定で「人数」や「役割」等の条件を変えつつ、人狼をリプレイし続けることで、イベントを発生させ、謎の真相に迫る。

初期設定で次のループ先の「条件」を変える

最初プレイして、暫くは違和感があった。
「これは人狼なのか?」と。

自分は人狼については人気配信者のプレイを見たりする程度で一般的な知識しかないが、人狼に詳しい人ほど恐らくそう感じるかもしれない。
グノーシアをプレイし始めて暫くは、投票前の話し合いで、余りにも雑に、根拠なく相手を攻撃し、コールドスリープに追いやられていくのを見て、セオリーや戦略らしいものは感じられなかった。
30時間を超えてプレイし、ゲームに慣れた今では、グノーシアにおけるセオリーや戦略がはっきりあると言えるが、プレイ数時間ではそれは分からなかった。

乗組員の一人で謎の女性・夕里子 何かを知っているようだが

いつもは明るいSQが真顔で語りかけてくる

グノーシアでは、汚染された人間が誰なのかを探るため、会話で論戦し疑わしき者に投票しコールドスリープさせるという、ほぼ人狼と呼べるシステムになっているものの、

「●●は気に入らない相手だから消えていいよ」
「●●は何となく疑わしいからグノーシア(=人狼)じゃない?」
「●●は喋りすぎ、うるさい」

所謂「雑殴り」と言われるこれらの理由だけで、投票の吊り先(コールドスリープ)が決まる。

船内に残っているメンバーで議論 「発言する」>「疑う」「かばう」などを選択して怪しい人物を絞っていく

何の材料もない1日目ならともかく、人数が煮詰まってきて、疑う材料が集った後半でも、このやり取りが繰り返される。
果たしてこれは人狼と呼べるのか、と。
最初は自分もそう思っていた。
そしてそれは大いなる誤解、というよりも正しい認識であることに気が付く。

これは人狼に似て非なる「グノーシア」というゲームであって、「人狼」ではないのだ。
(ややこしくなるので、グノーシアにおける投票先を決めるパートを「グノーシア裁判」と呼ぶ。)

グノーシアでは、その日のループを終えると、勝利・敗北に関係なく経験値が入手され、次のループで経験値を消費してステータスを上げることが出来る。
(ループで勝利した方が経験が多いため基本的には勝利を目指す事になる。)

ステータス画面

スキルは主にイベント発生で入手され、グノーシア裁判での論戦で使える強力なスキルもある。
スキルにはステータス条件があるので、ひたすらループを繰り返して経験を入手する必要がある。
ステータスを上げれば、投票先を操ることが容易になり、対象をコールドスリープに追い込めるようになる。

レムナンが叫ぶ 船内で一体何が・・・

つまり、「普通の人狼」において重要になる、「怪しさの根拠」「話の整合性」「論理的矛盾」といったことよりも、「グノーシア裁判」では、如何にして好感度やヘイトを操作するかが、最も重要な要素だ。
(グノーシア裁判でスキルを使って相手の論理的矛盾を衝く「絶対に人間だ」「絶対に敵だ」などの戦略もあるが、ここでは割愛する。)
極端な話しを言えば、グノーシアでは論理的根拠がなくても、ヘイトを集めて「●●が怪しい」という嫌疑を立てて蹴落とせさえすればいい。
逆に、怪しいとされたキャラクターを弁護し、ヘイトを減少させつつ票の分散を狙う、というやり方もある。

グノーシアを全てコールドスリープさせることに成功 次のループの前に今はただ勝利を祝おう

無論、自分がエンジニアやドクターの役割でプレイし、人間判定やグノーシア判定が出れば、その絶対的根拠を元に、票を操作する「普通の人狼」のようなやり方も可能だ。
ただ、このゲームでは、根拠は必ずしも必要ではない。
本質的に好感度とヘイトを上下させ、票を操作するゲームと言える。

グノーシアに負けると本性が明らかになる

グノーシアというゲームの本質が分かった所で、恐らくこのゲームに不満を抱く人の大半が、この「人狼部分」のゲームメカニクスだろう。
クリアまでには、人によるが10時間以上から数10時間とかなりの試行回数が必要になるので、相当数、ループ回数をプレイすることになる。
グノーシア裁判のやり方に不満や違和感があると、ゲーム自体が辛くなってくる。

しかし、グノーシアというゲームを正しく理解してプレイすれば、極めて面白いSFアドベンチャーゲームだと思う。
ゲームの序盤は、ステータスが低くスキルがないため投票に負けやすく不満を抱きやすいが、中盤以降はイベントがどんどん発生し、ステータスやスキルが伸びてくるので、投票を意のままに操る楽しさも出てくる。

投票画面 誰をコールドスリープさせるか?

投票先にされたラキオ 納得がいかないようだ

ここまでは、グノーシアでの裁判や投票部分を中心に書いてきた。
それでは、アドベンチャーゲームとして肝要な、ストーリーの面白さはどうだったか。
『グノーシア』は傑作SFADVであり、それは単純にストーリーが面白いからだ。
グノーシアを「一人用人狼」として見た場合、面白さはそれほど感じない。
キャラクターが魅力的でストーリー展開が面白いが故に、傑作なのだ。

ネタバレを避けるため、このレビューでは、ストーリーには一切触れないでおく。
何故主人公とセツは何度もループを繰り返しているのか?
この真相は、ぜひご自分のプレイで確かめていただければと思う。

物語のもう一人の主人公・セツ

購入に迷っている方向けの情報

グノーシアってどんなゲーム?

宇宙船内が舞台のSF版一人用人狼(風)ゲーム。
人狼と似ている部分もあるが、非常に雑な根拠で吊り候補(グノーシアと疑い票を集める)とする事が可能なシステム(というより、大半の場合は大した根拠もなくヘイトが集った人物が吊り候補にされコールドスリープさせられる)のため、人によってはゲームシステム自体に違和感を感じる可能性がある。

グノーシア買おうか迷ってるけど面白いの?

面白いが、人を選ぶ。
SFやアドベンチャーゲームが好きな人にはお奨め。
問題は、「SF版人狼」という部分がフレーズ文句になっているため、人狼が好きな人ほど購入対象になり安く、人狼に詳しいが故に違和感を感じてしまう可能性が高い点だ。
ジャンルを完全なアドベンチャーゲームにして艦内を自由に歩きまわれたり、選択肢制のゲームにする。人狼(風)ゲームはストーリーの盛り上がる場面だけにするなど、フレーバーに留めておけば良かった気はする。
……が、それをすると別のゲームになってしまっていただろう。難しいところだ。
グノーシアはアドベンチャーゲームのため、ストーリーを進める必要があるがエンディングまでに「人狼(風)ゲーム」を最低でも10数時間はプレイする必要がある。
ゲームシステムに馴染めないとこの時間が全く面白くないものになる。

キャラクターボイスはあるの?

キャラクターボイスはない。

人狼ってやったことないけど大丈夫?

グノーシアにおける「人狼(風)ゲーム」は、「普通の人狼」とはかなり違うため、人狼をプレイしたことがなくても全く問題なくプレイ出来る。
むしろ「普通の人狼」の経験がない方が、スムーズにグノーシアのシステムに慣れられると思う。

グノーシアの難易度はどのくらい?

それほど難易度は高くない。
しかし、ステータスゲーでありスキルゲーでもあるため、序盤はキャラクターが弱いため負けが多くなるかもしれない。
負けるともらえる経験値が低く、大抵の場合ストーリーは進行しない。(部分的に進む可能性はある)
投票で負ける場合は、ステータスが低いかスキルを上手く使っていないと負けやすい。
ループを繰り返すとRPGのように経験値がもらえるので、ステータスを上げてレベルアップをする。
イベントで獲得したスキルを使うのにも、ステータスが必須だ。
他には「協力する」や「かばう」で他のキャラクターと連携したり、好感度を上げて自分のヘイトを上げないように立ち回る事も重要。
空気を読んだり味方を増やすことがこのゲームでは勝利に繋がりやすい。
グノーシアに狙われるとループが終了するので雑談も上手く使っていこう。

グノーシアのクリアまでにどのくらいかかる?

クリアまでには、普通にプレイすれば10時間から長くて20~30時間くらいかと思う。
実際にどのくらいかかるかは人によります。

グノーシアのバグはある?

Steam版はやや不安定な気がする。
自分の環境でも、ループをひたすら繰り返していると、画面が真っ黒になったまま進行するバグが発生した。
とはいえバグフィックスは継続されており、発生確率も低いため然程問題なくプレイ出来るかと思う。

その他の評価点

高評価の項目 低評価の項目
  • 今までにないシングル用SF人狼(風)ゲーム。
  • <ループもの>x<SF要素>x<人狼(風)>というキャッチーな組み合わせ。
  • 美麗でオリジナリティの高い特徴的なグラフィック。キャラクター一人ひとりに個性があり、ステータス設定でその通りに振舞うため戦略にも組み込める。
  • ミニマルで雰囲気のあるBGM。
  • ループしながらストーリーの深部に迫るゲーム性。
  • 予想外のイベントに遭遇した時は楽しい。
  • 頻繁にレベルアップするため成長要素を感じやすい。
  • 値段が安いがループで何度も遊べるためコスパが高い。
  • 冒頭の奇想とトゥルーエンドにおける論理的な帰着は真のミステリと言える。
  • グノーシアにおける「人狼(風)ゲーム」のメカニクスは「本来の人狼」とは余りにもかけ離れているため、一般的な人狼要素を求める人ほど不満を抱きかねない。
  • ストーリーを進めるためには人狼の投票ゲームを相当数の時間プレイする必要があり、さすがに長いと感じる。
  • プレイ時間の大半を占める「人狼(風)ゲーム」のゲーム性は可も不可もなく、飽くまでストーリー展開を追うための手段という感じの位置付け。最初の数回を過ぎると面白みも薄い。単調なループゲームをストーリークリアまで10時間以上プレイするのはさすがに長すぎる。
  • Steam版はやや不安定。

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