Outward(アウトワード)クリア後ゲームレビュー「圧倒的な没入感を体験するハードコアでサバイバルなオープンワールドRPG」【PS4】

Outward(アウトワード)クリア後ゲームレビュー「圧倒的な没入感を体験するハードコアでサバイバルなオープンワールドRPG」【PS4】

『Outward(アウトワード)』(PS4版)ストーリークリア後の総評とレビュースコアを掲載します。
※シングルプレイのみでクリアのためオンライン要素、マルチプレイ要素については割愛します。
※追加DLC「ソロボレアンズ」「The Three Brothers」は執筆時点でCS機未適用のため本編のみのプレイです。

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レビュースコア

ゲームタイトル スコア ランク 評価観点
Outward
6/10 C
  • メカニクス(アクション・操作性・戦闘)
    6/10
  • 世界観・ストーリー・登場人物
    4/10
  • グラフィック・モデリング・画面UI
    8/10
  • サウンド・BGM・音響効果
    7/10
  • インプレッション・熱中出来る要素
    8/10
  • クオリティ(バグ・ロード時間 etc)
    5/10
[寸評]
空腹・渇き・疲労・体温調節・体調管理を始め徹底したサバイバル要素と、立ち回り重視の戦闘、ファストトラベルなし、移動手段は徒歩のみでマップに現在地も表示しないというハードコアなゲームデザイン。
ゲームの方向性は面白いが、もう少し演出面やストーリー面を強化して各要素を詰めてあればより面白くなったと思う。
ノーマルPS4のロードの遅さなど改善すべき点も多いが、チャレンジングなシステムと今後の展開の期待感からスコア7,ランクB-とした。

2021/6/17変更履歴 甘めに付けていたため、厳密なスコアに変更。レビュースコアを7から6,ランクをB-からCに変更。
2022/7/12変更履歴 評価観点の記載を新形式に変更。
2022/7/20変更履歴 サウンド・BGM・音響効果を5から7に変更。

  • ジャンル:オープンワールド/RPG
  • プレイ人数:シングル~4人
  • プラットフォーム:Xbox One, PlayStation 4, Microsoft Windows, Stadia
  • 発売日:2019年3月26日
  • 開発:Nine Dots Studio
  • パブリッシャー:Deep Silver

レビュースコアの採点方法については以下リンクを参照。

総評

レベルアップなし、ファストトラベルなし。
移動手段は全て徒歩で広大な大地を移動。
敵はほぼ全てスパアマ持ちと思える強さ。
容赦なく襲う寒暖の気候差。
マップの現在地表示はなく目標地点は回りの地形から判断するしかない……。

Outward(アウトワード)はライトゲーマーお断りの典型的洋ゲーと思える厳しい内容のゲームとなっている。
オープンワールドでは常備が当然となっている節のあるファストトラベルですらなく、Outwardでは移動手段は当然のように徒歩のみである。

更に、ゲームを開始して直ぐに「先祖のやらかした罪」の所為で大量の銀貨の支払いを要求され、何だこのふざけたゲームはと思って辞めてしまう人もいるかもしれない。
(実はこの支払いは必ずしも支払う必要はないのだが。)

Outwardは「辛いけど圧倒的な没入感が病み付きになって辞められない」という、忍耐強い一部の人に向けたゲームだ。

Outwardは2015年にカナダの小さなデベロッパーNine Dots Studioが、Steamの開発者支援プログラム「Steam Greenlight」で資金を募り、Canada Media Fundから資金提供を受けて開発された。

このゲームでは「冒険家の人生をシミュレートする」ことに焦点を当てて作られたため、オープンワールドRPGで辛いと思われる仕様も、全て盛り込まれる事になった。
長時間歩いて街に戻る途中で、冬山で寒さで行き倒れになって数時間が無駄になった、などは当たり前。

人によっては耐え難いゲームにもなるが、しかしそれ故に、他のゲームでは得難いプレイ体験をこのゲームでは経験出来る。

自然光の表現の美しさ、環境音の豊かさ、目を見張るロケーション、生き生きとしたモンスターの生態系、戦闘での立ち回りの多彩さは、このゲームの特筆すべき要素だ。
雪に覆われたシエルツォの山、爬虫類が徘徊する猛毒の沼地、木漏れ日が降り注ぐエンメルカルの森、茫漠としたアブラサの砂漠……

重い荷物のリュックを背負って歩いた日々が、気付けば日常の事になっている。
そしてまた、オーライの地に没入すべく、ゲームを起動してしまっている。

ただ、冷静に思うと、これらのハードな仕様でスポイルされてしまっている問題点も目に付く。
頻繁に入るロードの長さ、クエスト終了期限の厳しい日数管理等は作りの甘さや疑問を感じる部分も多々ある。

特にこのゲームでは、リアルで長時間の徒歩の移動、厳しすぎるクエストの日数管理の中で、プレイヤーが通常のゲームよりもはるかに苦心しながらプレイしているので、もう少し演出やストーリーの見せ方を工夫する等して、プレイヤーが報われてもいいと思ったが、実際には演出面での工夫はなくゲームで盛り上がるシーンはほとんどないと感じる。

そうなるとただ歩くシーンがやたら多いウォーキングシミュレーターに近いゲームなのではとも思えてくる。
水が必要になったらその辺の川や海からろ過して真水を抽出して飲み、眠くなったらテントを広げて寝て、体力が減ったら肉を焼いて食事を摂る。
そして街から街へ、ただひたすらに歩く。
そんなウォーキングシミュレーターのようなこのゲームだが、歩いているときがやはり一番楽しいのだ。

2021年にはCS機でDLC「ソロボレアンズ」「The Three Brothers」がリリースされるとアナウンスされているが、今後続編も大いに期待したいタイトル。
続編が出た場合は、今作の問題点や気になった点を是非改善して欲しいと思う。

購入に迷っている方向けの情報

どんなゲーム?

ストーリー重視のファンタジー系オープンワールドRPG。
サバイバル要素が強めでバイタルサインを管理し食事、水分補給、睡眠等を行う必要がある。
戦闘は立ち回り重視で近接、弓、銃、魔法等が使用可能。

難易度はどのくらい?

オープンワールドやソウルシリーズの立ち回りに慣れている人なら違和感なくプレイ出来る。
ただ、「クエストマークなし」「ファストトラベルなし」「馬等の移動手段なし(徒歩のみ)」「現在地表示なし」と普通なら完備されている要素がなく、人によってはかなり面倒と思える仕様が特徴。
かといってスローライフ系でもなく、敵は問答無用で襲ってくる。
また「海水から水分を抽出する」等、独特のサバイバルメカニクスがあるので、その点はプレイしながら知識を得る必要がある。

ゲーム本体にDLCは含まれていますか?

含まれない。DLCは別途ダウンロードで購入が必要。

戦闘に自信がないけどソウルシリーズくらい難しいの?

近接は慣れないと難しい。最初は弓で遠距離から狙撃したり、敵を地形に嵌めて攻撃すると倒し易い。

視点はFPS?TPS?

視点はTPS(三人称視点)のみ。

マルチプレイもあるの?

自分はソロプレイしかしていないが、最大2人までの画面分割プレイが可能との事。

日本語版でしょうか?

日本語版。但しキャラクターの会話は英語音声で、日本語訳表示となる。

ゲーム中の音声は日本語ですか?

ボイスは英語で発音されるが、日本語訳が表示される。
英語が分からなくてもプレイに問題はなく進められる。

バグはある?

ゲーム進行に問題があるバグは、自分のプレイ中は出なかった。バグはかなり少ない方といえるのではないか。
日本語表示にプログラムコードが残っている箇所があったが、その程度。

Outward買おうか迷ってるけど面白いの?

スカイリム等のリソース管理系ファンタジーRPGが好きな人なら楽しめるのではないかと思う。
ハードについては、ノーマルPS4では非常にロードが遅いため、PS4Pro/PS5でプレイするか、Steam版を購入する方が良いかもしれない。

DLC「The Three Brothers」はどんな内容?

拠点となる街の建設が可能となり、新たなスキルツリーや新武器が使用可能となる。

その他の評価点

高評価の項目 低評価の項目
  • ファストトラベルなしを始めとして一連のハードコアな仕様で没入感を高めている。
  • 風景と自然光のライティングが美しい。朝日が持っている剣に反射するのを見て感動した。
  • 野外で早朝になると小鳥が鳴く等、場面に応じた環境音が流れる。
  • プレイヤーのクラフト知識やサバイバル知識が付いてくると生存率が上がる面白さ。
  • 武器の種類が多くちょっとしたコンボモーションが異なる。スキルと合わせて戦闘スタイルを考えるのが楽しい。罠の設置や安全地帯からの射撃を合わせて試行錯誤出来る余地が多い。
  • 装備の着用で外見が変わる。
  • 種の違う敵同士が敵対行動を取る生態系のリアルさ。
  • ダンジョンや敵拠点の数が多い。
  • ストーリーの選択肢分岐が多く、選択によって街が滅亡するなど破滅的な展開もある。リアルタイムで時間が経過しセーブデータは自動保存されるため、常に緊張感のあるプレイになる。
  • 序盤から特に制限なく各地に移動が可能なフリーフォーム。
  • 刻々と変わるバイタルサインで食事や睡眠を適宜取らなければならないサバイバル要素。
  • 木材から木を伐採→木から焚き火キットを製作→火打石で火を付ける→塩水を煮沸→真水と塩を取り出すといったサバイバルメカニクス。
  • 文字が小さいものの、インタフェース自体は美しい。
  • レガシーチェストで新規キャラにアイテム引継ぎが出来る。
  • プレイ本編は非常に面白いのだが、細かい作り込みがされていない(素っ気なさすぎるタイトル画面、ゲーム導入部、パーツの少ないキャラクタークリエイト等)せいで、非常に損をしている。
  • 洋ゲーではよくある事なので仕方ないが、幼馴染を含む序盤の重要人物に対して主人公がどう関わってきたのか全く説明がされず、思い入れが出来ないまま派閥に参加しなければならない。
  • プレイに占める移動時間の割合が長すぎる。重量オーバー時の速度低下が顕著なので更に移動時間がきつく感じる。
  • クエストが期限切れで失敗になり易く、萎える原因になる。特にエリア移動で強制的に日数が経過するためクエスト期限を圧迫してしまうのは厳しく感じる。
  • UI自体は美しいが、文字が小さくて何が書いてあるのか見え辛い。
  • 演出面については開始時の一枚絵だけで、ほぼ考慮されていない。
  • 部屋に置いてあるオブジェクトや小物は破壊出来ず、NPCに攻撃不可は味気ない。
  • 大きなクラッシュやスタックはないものの細かいバグが散見された。(物体透過、死亡時に起き上がらない、メッセージ中のプログラムコード表示等。)
  • 製作でアイテムを一つずつしか作成する事が出来ない。大量に作成したい時に数値を指定して作成出来るようにしてもらいたい。
  • ギミック(仕掛け)を動かすトリガーの大半がレバーなのでチープさは否めない。
  • 進行不可の壁や下りられない崖が多く、没入感を疎外する。
  • 敵が現れた瞬間にプチフリが発生する事が多い。
  • セーブデータに何時間プレイしているかのデータが表示されない。(セーブ場所と最終保存時刻のみ表示。)
  • キャラクター周りのデータはかなり細かいが、アイコンのみでしか表示されない項目が多く、何を意味しているのか判断出来ない。
  • ロードが頻繁に入る。(ゲーム開始/ダンジョン/エリア移動/睡眠/死亡)。ノーマルPS4ではロード時間が長い事も合わせてロードが苦痛になり易い。
  • 頻繁に製作画面(タッチパッド)を表示するが、製作画面のタブ位置がL1/R1を数回押す必要があるため面倒。
  • コントローラーは特殊な操作方法だがキーバインドが出来ない。特に十字キーという操作頻度が高いキーに優先度の低いマップや照明等が割り当てられているのは疑問。
  • 死亡、エリア移動と日数自動経過する場面が多いため、サイドクエストに手を出しづらい。実際各地をゆっくり回れるのは本編終了後になってしまう。
  • 翻訳はゲームの進行には影響はないが、文字の重複等、多少日本語がおかしい箇所があった。
  • マップで現在位置が表示されないのであれば、ゲーム側でフォローしてもらいたかった。例えば「ディヴィニティ:オリジナル・シン」のようなマップへのメモ入力といったやり方はあるはず。
  • 世界観を補填する書物やcodexといった要素がない。

ギャラリー

ゲーム中に登場するロケーションはどれも印象深い場所ばかりだ。
ぜひゲームの中で体験して頂ければと思う。撮影した画像の一部を公開する。

クリア時スタッツ

難易度ノーマルでのクリア時スタッツを掲載する。
※ネタバレを避けたい方は以後の参照を注意下さい。

派閥は英雄王国に参加。武器は夢見るハルバード、埋葬者の帽子と埋葬者の鎧、大商人のブーツ、メフィノの商人のリュックを装備。
戦闘スタイルはウォーボウでスナイパーショット(スキル射撃)し、豪華なピストルで削ってからハルバードで止めを刺す遠距離引き撃ちタイプ。
魔法はほぼ使用せず。本格的に魔法スキル購入前にストーリーが終わってしまった。(203日目で終了。)

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