ゲームレビュー Wizardry 囚われし魂の迷宮「リメイク作としては物足りないがターボモード搭載でコスパが高いルネサンス版Wiz」【Steam】

ゲームレビュー Wizardry 囚われし魂の迷宮「リメイク作としては物足りないがターボモード搭載でコスパが高いルネサンス版Wiz」【Steam】

2020年1月に発売され、2月に購入したSteam版『ウィザードリィ 囚われし魂の迷宮(Wizardry Labyrinth of Lost Souls)』(以下『Wiz囚われし魂』)の「シーインの迷宮」シナリオボスと「シーイン最深部」のメインクエスト「世を乱す不埒者に鉄槌を」をクリアしたので、この時点で総評とレビュースコアを掲載します。
(ゲームの進行は中盤を過ぎた辺りという感じですが、70時間以上プレイしたためレビューには十分なプレイ時間と判断。)

Steam購入サイト
Wizardry 囚われし魂の迷宮(Steam)

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レビュースコア

ゲームタイトル スコア ランク 評価観点
Wizardry 囚われし魂の迷宮
5 D
  • インプレッションは普通とつまらないの中間
  • 凡作寄り
  • 購入前の期待値より下回る
移植前のゲームには移動速度に難があったということで、リメイクにあたりターボモードの追加がされ、移動速度は不満を持つほどではなくなっている。
イベントやフレーバーの要素は最低限しか追加が無く、ある意味潔い移植。
筆者はソフトリセットありでプレイしたが、ソフトリセットなしの従来のWiz仕様でプレイすれば相当のプレイ時間が遊べることは間違いない。
本来はレビュースコア5/評価ランクDが妥当な評価だと思うが、Wizタイトルということもあり、甘めにスコアを付けてスコア6としている。
2021/10/17変更履歴 甘めに付けていたため、厳密なスコアに修正。レビュースコアを6から5,ランクをC-からDに変更。

レビュースコアの採点方法については以下リンクを参照。

総評


Wiz囚われし魂の開発会社は2018年にSwitchで発売され高評価を得たRPG『OCTOPATH TRAVELER』の開発会社アクワイア。
アクワイアは『AKIBA’S TRIP』『じんるいのみなさまへ』等の一風変わったタイトルもリリースしている。

Wiz囚われし魂はスマホアプリ版を含め多機種に移植展開した作品だ。
開発会社のアクワイアが、今更力を入れるタイトルでなかったであろう事もあるが、2020年2月に発売された新タイトルの『侍道外伝 KATANAKAMI』に開発リソースを集中しており、Wizardryに力を入れる余裕がなかったのではないか。
ゲーム単体として見れば、ノートPCでも動作に問題なくプレイが出来ることや、低価格でDLC込みのルネサンス版Wizが購入出来ることを考えれば、お得感のあるゲームといえる。

難易度については、Wizシリーズや「エルミナージュ」等のダンジョンRPG経験者であればシーインの迷宮まではそれほど苦ではないと思うが、シーイン最深部からはモンスターの強さのランクが上がり、ダンジョンの構造自体が変化する事(ほとんどのエリアがアンチワープゾーンになり、隠し扉が自動で気付かず手作業で調べる必要があるポイントが多い、等)から、ライトユーザーには決してお奨め出来る難易度ではない点は付しておく。

伊藤賢治作曲の素晴らしいメインテーマ(伊藤賢治はウィザードリィ ルネサンスのメインテーマ曲を作曲担当)
Wizardry 囚われし魂の迷宮 PV(AcquireChannel)

ルネサンスについても触れておく必要がある。
Wiz囚われし魂は「ウィザードリィルネサンス」として新生したウィザードリィのタイトルだ。
このゲームタイトル自体は新作ではなく、元々PS3版等の機種で発売されていたものだが、2020年1月にSteam等へ移植された。

ウィザードリィ ルネサンス詳細については以下のリンクを参照頂きたい。
ウィザードリィ ルネサンス総合プロデューサー 岩原ケイシが語る『ウィザードリィ』を“ウィザードリィ ルネサンス”として再構築したわけとその世界観(前編)
ウィザードリィ ルネサンス総合プロデューサー 岩原ケイシが語る『ウィザードリィ』を“ウィザードリィ ルネサンス”として再構築したわけとその世界観(後編)

筆者のウィザードリィシリーズのプレイ経験は、本家『ウィザードリィV 災禍の中心』のほか、エルミナージュ(3DS)、幻霧ノ塔ト剣ノ掟(DS)、エクスペリエンス系Wiz(剣の街の異邦人、PC)等のタイトルをプレイした経験はあったが、『Wiz囚われし魂』は未プレイであったことから、2020年のSteam版発売のタイミングで購入した。
なおウィザードリィ ルネサンスの展開の中核に位置付けられていたオンラインゲーム『Wizardry Online』(ウィザードリィ オンライン)は2011年にサービス開始したが、2016年にサービス終了している。
自分はWizardry Onlineのサービス開始からプレイしていたが、序盤からPKが可能なシステムでプレイしている時は楽しかったものの、今思うと余りにもゲーム内がカオスで大荒れしていたことを覚えている。

低価格でもお買い得感のあるWiz囚われし魂の迷宮


Wiz囚われし魂に話を戻すと、1,520円という低価格でDLCストーリーも付属しており、ダンジョンRPGファンにはお買い得感がある内容だ。
ルネサンスの中では新生されたWizタイトルなので、難易度はさすがにオリジナルよりも緩和されているが、Wiz本来の雰囲気も残っているため、オールドファンでじっくりプレイしたい人にもお奨め出来る。
難点としては全体的に現在の一般的なゲームに慣れていると、操作感が悪い部類で、やはりPS3の時に作られたゲームだと思う。

一番の難点と思われていた、「ダンジョンでの移動速度の遅さ」については、このSteam版『Wiz囚われし魂』でターボモード(移動速度向上)が追加で実装された。
ターボモードの恩恵で、移動速度が普通になった。決して高速移動ではないが、ストレスをギリギリ感じない程度の移動にはなっている。

戦闘画面では、一応「なんちゃって敵なオート戦闘」も可能だが、毎ターンオート戦闘のメニューを選択する必要がある上、バトル中のメッセージ送りが手動なのでキーを連打するかESCを押しっぱなしにしなければ戦闘が進まないのは面倒だった。
(※システム面の高速化についてはゲーム外部の高速化ツールがあるらしいので、どうしても速度面で我慢出来ないという人はそちらを探してみるのもいいかもしれない。)

折角のリメイクがターボモードだけでは物足りない


筆者はPS3版『囚われし魂の迷宮』をプレイしていないので、ターボモード以外の違いは分からないが、やはり折角ハードを変えて移植作を出すのであれば、極限までプレイアブルを上げて出してもらいたかったところだ。

真・女神転生シリーズのリメイク『真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY』では、リメイク版にあたり「フルボイス化」「キャラクターの追加」の他演出面やシステム面でも大幅なリファインがされており、プレイアブルと快適さが極限まで高められていた。
これは自分が『STRANGE JOURNEY』のリメイク前後を両方プレイしていたために判断が出来た。
アトラスの(手を抜く事もあるとは言え)自社主力IPに対する妥協しない凄みを感じたものだった。

リメイクをするなら、ユーザーが「この会社そこまでやるのか」と呆れる所まで徹底してもらいたいものだ。

直近で新作の発売を控えている開発会社の事情も


とはいえ、開発会社の事情として、リメイクに力を入れられる状況ではなかったこともある。
株式会社アクワイアは資本金1億円、従業員110名と中小企業規模の開発会社だが、アクワイアは2020年2月にスパイク・チュンソフトから発売になる『侍道外伝 KATANAKAMI』の開発を手掛けており、社内リソースをそちらに割かなければならない状況だった。
ルネサンス旗印の『Wizardry Online』が終了した現在、直近で控えている新作タイトルを優先するのは当然だ。
そう考えれば、ターボモードの追加実装があっただけでも、ユーザーにとっては「まだましなリメイク」だったと捉えるべきかもしれない。

2021年10月追記:なお、これを書いた後で開発会社がゼロディブである事に気が付いたが、実際にはアクワイアとゼロディブの協業開発だったようだ。

その他の評価点

高評価の項目 低評価の項目
  • 末弥純、隼優紀の美麗なデザイン、伊藤賢治によるテーマ曲が素晴らしい。
  • ダンジョン内部ではBGMが基本的に流れず、クリーチャーが遠くで叫ぶ声や水滴の滴る音等環境音のみが聞こえて雰囲気がある。
  • キャラクターの絵が状態(ステータス恐怖など)によって変化する。(キャラクターの表情は3種類あり、キャラボイスも流れる。)
  • 簡易的だがアイテムにイラストがあるため世界観をイメージし易い。
  • 侍の轟激刃紋ノ陣、魔術士の魔力上昇効果等各職業に固有の「技能」があるため、従来のWizよりも更に職業(クラス)毎の特色が出ている。
  • 基本的に全編通じて単調な流れだが、ギルドや各施設で依頼(クエスト)を受けることが可能。
  • ゲーム中のローディングはほぼなく、ゲームクライアントとしての動作は全体的に速い。グラフィックボードの付いていない低スペックPCでも問題なくプレイが可能。
    (ダンジョンに入る時に数秒ローディングが入る。)
  • 誤字・バグ等なく安定したプレイ環境。
  • PS3からの移植作だが1,520円という低価格。
  • DLCストーリーが同梱。
  • 主人公キャラクターを必ず一人作成する関係上、主人公キャラ一人につきセーブデータを一つしか作れない。
    但しストーリー上の分岐点等はないためセーブデータ一つでもそれほど支障はない。
  • キャラクターの立ち絵が種族・性別ごとに固定されている。
  • 馬小屋での休息が全員一括の休息にならず、一人ずつ選択しなければならないため操作が面倒。
  • ログが流れ易いが、ログを後から見返す機能がない。
  • ダンジョンにあるギミックが少ない。スイッチで閉じられた扉の奥にエレベーター(EV)、扉を開くスイッチ、EVが主なギミックでそれ以外は基本的に何もない。スイッチを探す、スイッチを起動する、EVか階段で下へという流れがどの迷宮でも変わらず単調な展開が続く。
  • 店買いで購入した装備をその場の選択で装備出来ず、一旦道具のウィンドウを開かないと装備が出来ない、持ち物の受け渡しのインタフェースが悪い等全体的に操作性が悪い。
  • 戦闘メッセージは表示速度が遅いわけではないが、エンカウント数が異常に多いゲームなのでもう少し速くしても良かった。
    (参考までに、エンカウント数はデータとして記録されないが、自分のセーブデータでは70数時間のプレイで8000体以上の敵を倒している。)
  • 主人公キャラクターの名前がデフォルトで入っているため、高ボーナスが出て際に名前を変更し忘れてそのままゲームを開始する操作ミスがよく起きる。
賛否両面ある点
人によってプレイし易いと見るか甘すぎると見るかによって分かれるが、Wiz本来の仕様からは難易度がかなり緩和されている点が多い。
これらはオプションで「あり・なし」が選べれば尚良かったと思う。

  • レベルアップでHPと魔法回数が全回復し、ステータスがその場で上がる
  • ダンジョン中でも復活魔法で死人が復活可能
  • ダンジョンからの脱出魔法がある

シーイン最深部「世を乱す不埒者に鉄槌を」クリア時スタッツ

まだゲームの全てのクエストをクリアしていないが、「シーイン最深部」のメインクエスト「世を乱す不埒者に鉄槌を」(ヴァンパイアクイーン討伐)クリア時スタッツを掲載する。
※ネタバレを避けたい方は以後の参照を注意下さい。

コンセプト

クリア時パーティー
君主・君主・侍・侍・忍者・司祭

ほぼ全員、司祭(Bishop)を経由させて全魔術士呪文・全僧侶呪文を覚えた上で転職させている。
特に魔術士呪文の「Wish」が非常に重要なゲームのため、Wishを使えるメンバーが少ないとゲーム中盤以降かなり厳しくなる。

Wishを覚えた後は、強武器の虎鉄やムラクモ・ブレードが装備出来る前衛最強職の侍と、侍には劣るがオーディンソードが装備出来る君主に転職させて前衛を固める。
忍者はそれほど攻撃力はなく、エルフにしてしまったためVITが低くHPも伸び悩んだものの、HP1,000程度でこのレベルなら何とか使えるという感じに。

後は、やはりドワーフ最強。VITが高いので非常にHPが伸びる。
HPの高さが生存に直結するため、VITがかなり重要だが、最初からステータスをプラス出来るのも種族値にプラス10までなので、種族値が低いとHPが余り伸びず、中盤以降苦労する事になる。
HPを伸ばすならドワーフがお奨めだ。

迷宮探索のコツとしては、シーイン最深部はとにかく隠し扉が多いダンジョンなので、マップの不自然な空間は調べて歩く事が必要になってくる。

試練の迷宮やシーインの迷宮では、そこまでしなくてもキャラクターが勝手に気付いてくれるため、その範囲だけ調べれば良かったのだが、最深部のみ何故かキャラクターが気付く確率が低く、自分でマップをしらみ潰しに調べる必要が出てくる。

キャラクタースタッツ

君主(主人公)/ヒューマン/女

君主/ヒューマン/男

侍/ドワーフ/女

侍/ドワーフ/男

忍者/エルフ/女

司祭/ドワーフ/女

戦歴・アイテム収集率

戦歴

アイテムコレクション(収集率)

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