『黄泉ヲ裂ク華』(PS4版)ストーリークリア後の総評とレビュースコアを掲載します。
※「黄泉ヲ裂ク華 お手軽版」DL版のストーリーボスクリアまでプレイ時点のレビューとなります。追加シナリオDLC「黄泉ヲ裂ク華 やり込みDLC」は執筆時点で未プレイです。
レビュースコア
レビュースコアの採点方法については以下リンクを参照。
総評
PS4/Switch『黄泉ヲ裂ク華』 PV 第二弾
一貫して国産のDRPGを開発してきた「エクスペリエンス(Team Muramasa)」の2020年発売最新作となるダンジョンRPG。
当初はプラットフォームを絞り2020年6月にXbox OneでDL版が先行発売され、2020年11月にPS4とSwitchでパッケージとDL版が発売された。
『黄泉ヲ裂ク華』タイトル自体は2016年に発表され、その時はダンジョンRPGではない和風のゲームとしてイメージボードが発表された。
その後紆余曲折を経て現在のゲーム形式になり、発売に至ったという経緯になった。
2016年5月の4Gamer記事で「黄泉ヲ裂ク華」が取り上げられた。この頃は現在の製品版と異なるイメージだった
Xbox One用新作RPG「黄泉ヲ裂ク華」が2017年春に登場。PS Vita用ダンジョンRPG「新釈・剣の街の異邦人 ~黒の宮殿~」も2016年7月21日に発売決定 |
■黄泉と地下探行士という最高の舞台設定
筆者はDRPGは真・女神転生や世界樹の迷宮等のシリーズ作を数多くプレイしているが、これまでエクスペリエンス製品はPC版『剣の街の異邦人』のみクリアしている。
それ以後、エクスペリエンス製品のゲームをプレイする機会がなかったが、『黄泉ヲ裂ク華』は世界観が好みだったためXbox One版発売時から注目していた。
PS4版が発売されてプレイした所、予想通りDRPG好きには楽しめるゲームになっていると思う。
黄泉ヲ裂ク華は1979年、昭和54年の黄泉が出現したもう一つの東京が舞台となる。 黄泉に「出勤」し希少な資源を掘削するため迷宮を彷徨う地下探行士(アンダーノーツ)たち。
これまでのエクスペリエンスのゲームに比べても『黄泉ヲ裂ク華』ではシステムや世界観がライト過ぎず、丁度良い落とし所に収まった感じだ。
黄泉と地下探行士という設定でゲームとして成功するのは保証された。後は”Team Muramasa”がこれまで培ってきたノウハウが注ぎ込まれるだけだった。
詳細は避けるが、ゲーム本編ではこの設定が十分活かされないままストーリー進行するのが個人的には残念だった。
続編が作られるとしたら「黄泉ヲ裂ク華の前日譚」である黄泉出現後に黄泉景気に湧く世界での地下探行士をプレイしたい。
突如東京に出現した謎の構造体「黄泉」
零細企業カサンドラ社は地下探行士となる若者を募集
黄泉駅のホームに降り立つ武装した地下探行士たち
黄泉内部へと向かうチノワゲート
キャンプで佇む謎の少女
黄泉で遭遇するイベントの数々
■オーソドックスなゲームシステムと快適なプレイ環境
ゲームシステムとしてはオーソドックスでクラシカルなターンバトル制の3DダンジョンRPG。
プレイアビリティは非常に快適で、マップのある地点を指定するだけでそこまで移動してくれるフルオートパイロットで迷宮内を目標場所まで高速移動する。
道中はファストトラベルではなく「移動」になるため、エンカウントする可能性もあり油断は出来ない。
戦闘はスイッチブーストという一種のパーティースキルがあり、毎戦闘で使えるためMP節約等に便利。
ただスイッチブーストを使いすぎると何かしらリスクがある等の設定を入れても面白かったかもしれない。
戦闘では高速戦闘を選択すれば、ログが高速で流れるため時間短縮が出来る。が、高速戦闘に慣れると毎回選ぶのは面倒なので、オプションで「高速戦闘」を設定出来ればと思う。
戦闘はオーソドックスなターンバトル 右上のアイコンは職能による常時バフ
マップは自動表示されるが不定形で複雑な形状をしている迷宮が縦横に広がっている。
上下にも階層があり梯子で繋がっているため、コアユーザーにも攻略し甲斐のあるものになっている。(※一応、迷宮の1区画(ブロック)の大きさは30×30となっている。)
■ダンジョンビルドは移動経路を自分で作る手段だがパズル的な要素はない
大きな特徴の一つが迷宮にプレイヤー自身が手を入れる「ダンジョンビルド」だ。
迷宮の内部は「黄泉の花」で扉・梯子・架け橋を作って移動経路を自分で増やすことが出来る。
他にも魔物の花を大量に仕掛けてモンスターハウスを作りレベルアップとハクスラ専用のダンジョンにする事も可能だ。
黄泉の中で「黄泉の花」を使うと扉や梯子、架け橋等が建設出来る
行き止まりの壁にトビラの花を使う
扉が出来て先に進めるようになった
ダンジョンビルドにはギミック同士を組み合わせるようなパズル的な要素はなく、通路や座標同士のショートカットを作るだけなので、結局は壁や架け橋があるかどうか総当りになるのが残念な点だ。
特に終盤のダンジョンでは大量の隠し扉や架け橋を開通する事が必要になるため、黄泉族(モンスター)を倒して物資を得る→拠点に戻る→融合炉で物資から花力を抽出→黄泉の花を作る→ダンジョンに扉や架け橋を開通するの繰り返しになり、作業的なプレイになってくる。
黄泉には黄泉族という多数のモンスターが徘徊する 稀に人間と遭遇する事も
■希少な国産DRPGタイトルとして続編も期待
DS・3DSの人気シリーズ『世界樹の迷宮』が終了した2020年の現在では、有力な国産DRPGタイトルはアトラス『真・女神転生』シリーズや日本一ソフトウェア『地下迷宮と魔女ノ旅団』が挙げられるものの、真・女神転生Vは2021年発売が決定されたものの、まだどのようなゲーム形式となるのか詳細は不明だ。
(日本一ソフトウェアの最新DRPG『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』はPS4等で2020年11月26日発売。)
コンシューマソフト市場では新作の国産DRPGが希少な状況で、この『黄泉ヲ裂ク華』では基本を抑えたシステム・高いプレイアビリティ・作り込んだ世界観と設定・重厚さを目指したストーリー展開等から水準以上の出来で、今後のシリーズ化と続編製作にも期待がかかるゲームと言えると思う。
なお『黄泉ヲ裂ク華』はエクスペリエンス製作『剣の街の異邦人』と世界観的には繋がっているが、未プレイでも本編は問題なくプレイが可能だ。『剣の街の異邦人』をプレイ済みであれば元ネタが分かってより楽しめるだろう。
PS4/Switch『黄泉ヲ裂ク華』 PV 第三弾
その他の評価点
高評価の項目 | 低評価の項目 |
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クリアスタッツ
ストーリークリア時のパーティースタッツを掲載します。
※ネタバレを避けたい方は以後の参照をご注意下さい。
コンセプト
ストーリーボスクリア時パーティー
闘術工・斬術工・斬術工・忍術工・聖術工・魔術工
クリア時点での各職の印象
戦術工:重装備から後衛用レンジ武器まで武装を幅広く使える事が最大の利点。反面、戦術工や防術工用の重装備は命中が下がるため、ボス戦で攻撃が当たり辛いこのゲームでは採用し辛い。
防術工:防御を重視するとボス戦等ではHPを超回復される事が多いため、軽装でも攻撃を重視したほうが良いこのゲームでは採用し辛い。
闘術工:「集中」→「鉄山撃」が序盤は強力なダメージソースになる。「牙砕き」が敵のダメージを落とすもののダメージが低く、後半はやや微妙か。武装の選択が狭いのが難点。
斬術工:防御はやや薄いがHP回復しながらダメージを与える「血吸い斬り」が強力で生存率が高い。シリーズ伝統でカタナ系の武器が強く強力な前衛になる。
忍術工:前衛・後衛どちらでも攻撃やサポート役として立ち回れる。「幻影」で防御役としても使える。「隠密」状態にならないと行動が制限される。色々出来る反面、器用貧乏になり易い。
猟術工:後衛レンジャータイプ。全く使わず使用感が不明だが、公式説明では火力は他職に劣る。総合猟術工で「厄落とし」「武器エナジー」「対強化ブレイク」等の便利系職能が使えるのは利点。
聖術工:回復役としてほぼ必須。「エナジーバリア」で防御壁が3回張れるので防御役としても強い。
魔術工:序盤は微妙だが後半は「ペンタキネシス」で強力なダメージソースになる。総合魔術工で「号令の口笛」「鷹の目」「異術ブレイク」「強化ブレイク」等の便利系職能も使用可能。
『黄泉ヲ裂ク華』では転職は制限なく自由に行えるので、気に入らなければ色々試す事が出来る。
各職業は昇進させると「専門職」と「総合職」に分かれて強力なスキルが解放されるものの、昇進には「能力向上アルゲン」が必要となる。能力向上アルゲンは貴重品なので良く考えて昇進させたい。
(オートセーブのため昇進させた後で昇進前のデータに戻るのは基本的には不可能。)
ストーリー序盤は昇進せず、ストーリー中盤以降にそれまでの使用感から昇進させる職業を選んだ方がいいだろう。
筆者が選んだのは上記のパーティーの通りで全て昇進させている。
序盤は戦術工を使っていたが、装備の関係で命中が下がるため攻撃が中々当たらず、ボス戦で役に立たない印象だったため、斬術工に転職させている。
斬術工が非常に強いと思うので前衛は3人斬術工でもいいくらいだ。
忍術工の代わりに猟術工を入れて便利系職能を使ったほうがバランスがいいかもしれない。
職能(スキル)については「一振り」より「全振り」した方が高い威力が出る。
「職能点のタマ」は多数ドロップするので、ダメージ源となる職能には惜しまずに最大まで振りたい。
キャラクタースタッツ
忍術工/アスリート/男(主人公)
闘術工/ヤングマン/女
斬術工/ヤングマン/女
斬術工/ヤングマン/女
聖術工/クリエイティブ/女
魔術工/ホワイトカラー/女
戦歴・収集率
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