Steam版で「ダーケストダンジョン」のストーリークリアしたので、総評とレビュースコアを掲載する。
難易度ダーケストでクリア時間は150時間、クリア週(ゲーム内経過時間に相当)は102週だった。
(DLC「クリムゾンコート(呪われた庭園)」「狂乱の色」はプレイせず通常ストーリーのみクリア。)
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レビュースコア
レビュースコアの採点方法については以下リンクを参照。
総評
ローグライクには様々な形態があるが、一つの様式美を作ったという意味で先駆的なゲームに位置されるのではと感じる。
ダークソウルの後に一斉に似たようなゲームが乱立し、「ソウルライクゲー」として一分野に括られたのは記憶に新しい現象だ。
ダーケストダンジョンにも同じ現象が起きており、後述の「ヴァンブレイス: コールドソウル」や「MISTOVER(ミストオーバー)」など、ダーケストダンジョンのフォロワーが次々と登場している。
だが、それでもまだオリジナルのダーケストダンジョンを超えるゲームは登場していないようだ。
ダーケストダンジョンでは、ダンジョンの内部で様々なトラップやモンスターと遭遇する事で、ヒーローキャラクター(冒険者)の「ストレス値」が上昇する。
ストレスが一定以上溜まったキャラクターは精神崩壊から奇癖を発症したり、最後は発狂した挙句、この世から消滅してしまう悲惨な最期を迎える。
しかも、ここまで手塩をかけて育ててきたキャラクターが発狂しながら消滅するのは余りにも辛い。
ゲームを進めるためには、これらのヒーローのストレスを緩和させながら、冒険者をいかにして育て上げ、最終ダンジョンである高難易度の「ダーケストダンジョン」に挑むか、という部分が試行錯誤されるものとなっている。
先祖の地に発生した恐怖の謎に挑む
ダンジョンで冒険者を待ち受けるものとは
クトゥルフTRPGで御馴染みの発狂をストレスで表現した秀逸なシステム
ダンジョン内で精神力がなくなると、「発狂して逃げ出す」といったシステムは、古くからTRPG(テーブルトーク)の「クトゥルフ神話TRPG(クトゥルフの呼び声)」の「SAN値」を元にしたゲームデザインである。
(SANとはSanityからきた造語で、キャラクターの正気度を表す。名状し難い古き怪物を見た冒険者は、正気度を失い、正気度がなくなると発狂してしまうというシステム。)
CRPGでは、古くは「ラプラスの魔(1987年ハミングバードソフト発売のサバイバルホラー)」や「邪聖剣ネクロマンサー(1988年ハドソン発売のRPG)」といったゲームでも採用されていたシステムだ。
「ラプラスの魔」では、精神力で霊体の敵に攻撃出来るが、こちらの精神力もダメージを受ける。
精神力がなくなると発狂して逃げ出し、パーティーを離脱して館をさ迷う狂人となるというシステムだった。
「邪聖剣ネクロマンサー」では、戦闘で逃亡を繰り返すと、裏ステータスである「恐怖値」が溜まり、パーティーを脱走するという仕様が入れられていた。
他にも、心理的な恐怖をゲームに取り入れたゲームでは、ゲームブックのファイティング・ファンタジーシリーズ「地獄の館」がある。地獄の館では、「恐怖点」というそのものずばりの名前で恐怖を表し、館の中で遭遇する様々な出来事で、プレイヤーの恐怖点が上昇していき、恐怖が限界まで達するとショック死するというシステムになっていた。
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ダーケストダンジョンでは恐怖値を「ストレス」として定義し、ダンジョンで起こる様々なイベント、例えば「ダンジョンに入る」「灯りが暗い」「空腹」「戦闘でダメージ」「仲間のストレスが伝播して空気が悪くなる」といったあらゆることでストレスが増加する。
ストレスが増加すると様々なバッドステータスが発生し、パーティー崩壊が近付いていく。
正に恐怖値(ストレス)を正面から仕様に取り入れたゲームとして、画期的といえる。
実際にはストレス値を初めとする様々なマゾ要素から、「プレイヤーのストレスがマッハ」という形容をされる事もある。
ゲーム的な特徴は他にも、2Dで進行するローグライク系RPGで、特定の主人公はおらず冒険者を雇ってパーティーメンバーとする点がある。
冒険者は死んだら特定の場合を除いて復活させることは出来ない。
そのため冒険者は死ぬことが前提の使い捨てとなる。
そういう意味で冒険者への感情移入は一切許されない。
冒険者の死と引き換えにダンジョンを攻略し村を発展させる。
村を発展させることでより強い冒険者が雇えるようになる点が特徴だろう。
冒険者のストレスマネジメントの難しさとは別に、戦闘面でもパーティーの隊列とスキルが密接に関連しており、戦闘とパーティーのメンバー、隊列の並び、スキルを使ったときの隊列変動とその際のスキルがどうなるか、など考えておくべき要素が無数にある。
というのも、ベストメンバーが育っていても、ボス戦で全滅の可能性は常にあり、それどころか道中で非常に強い雑魚にエンカウントして全滅する可能性すら高い。
ダンジョン内でボスに辿り着けず、彷徨い続けた挙句物資がなくなって敗走し、全員が発狂寸前のストレスダメージを負って退却、など、生還しても致命的なダメージを負ってしまうことすら、普通にあり得る状況だ。
ゲームのデザインはゴシックホラー調で、ややアメコミ色が強いが、システム面が素晴らしいので、それほど気にはならなかった。
Steam版ではMODもたくさん出ているので、冒険者の外見を替えることも容易だろう。
「ラプラスの魔」「邪聖剣ネクロマンサー」に続く、クトゥルフ神話をテーマにしたホラーRPGの血統に恥じない、超高難易度ゲームだ。
ダーケストダンジョンについてはPS4版、Vita版、Switch版も日本語版が出ているので、以前より色々なプラットフォームでプレイが可能になっている。
あらゆる意味で難易度が高いこのゲームだが、ぜひプレイして頂きたい。
ストレスがマッハで溜まりながらも、絶対に面白い筈だ。
そして、恐怖の最奥に何があったのか、その目で真相を確認してもらいたい。
その他の評価点
高評価の項目 | 低評価の項目 |
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